駄文@‐2

□梅雨の出来事
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「あれは…」


梅雨のジトジトした感じが嫌で、こういう時は身体を動かしたほうがいいということと、大好きな野球をすれば暑さなど忘れることができるからという理由で、公園に向かっていた。
すると、前方に見知った後ろ姿を発見する。

なんとも珍しい。
あの人とは、会うことも出くわすことも本当にないのだ。
小僧や、ツナと一緒にいないと顔を合わすのはそれこそ、流れ星をみるのと同じくらいの確率だ。

「ディーノさん!!」

大きく叫んだ。
すると、立ち止まって振り向いてくれた。

「山本じゃねえか。」


へらりと笑って、こちらもへらりと笑う。

「ディーノさん、久し振りっすね。」

「おぉ、山本とはあんま会わねえよな。」


ちょっと心のどこかで気にしていた事をさらりと言われて詰まってしまった。


「アハハ。そーっすねぇ。…ディーノさんは今からツナん家に行くんすか?」


「…あぁ、いや…いまから雲雀のとこにな行かないと。」

「そーなんすか。」


てっきりツナのとこに行くと思っていた。
雲雀…か、ツナの家に行くならこんな複雑な心境にはならない。

ディーノさんは、雲雀の専属家庭教師だから仕方ないと言えばそうなのだが。

素直な気持ち

いやだ。


「ハァ…」


珍しい。いつも悩みという悩みなんか無さそうなディーノさんがため息なんて。
もしかしたら、ディーノさんも雲雀なんかのとこに行くのは嫌なのかも。

「どうしたんすか?」

「…いや…」

「俺で良かったら何でも相談にのりますよ?」


ディーノさんは笑顔でありがとな。と言ってくれて嬉しかったのだが。

「何でもないから、気にすんな。」


ディーノさんは、嘘をついてる…と思った。
きっとこの人は、嘘をつくのは上手い方なのだろう。
本当に何でもないように笑って、明るく話すディーノさんにそう思わずにはいられない。

「ディーノさん、なんかあったっすよね?」


ディーノさんには悪いけど、話しを遮った。
ディーノさんは、ぴたりと足を止めて、俺の方に顔を向けて。

「…ん〜…話すほどじゃ…ないけど……」

「俺が聞きたいんです。」

「…そっか。じゃあ、話すな。」

なんだろう。

「…実は…ロマーリオと…」

あ…本当だ。
いつもディーノさんと一緒にいるオジサンがいないことに今さら気付く。はぐれたんすか。
ディーノさんらしいっすね。

「一緒にいくはずだったんだが。今朝…恭弥から
『今日は他の奴らを連れてきたら咬み殺すから』

って、メールが送られてきてな…メルアド教えた記憶ないけど…」

きたんだ。

とさっきの明るい笑顔が嘘だったのか。
今は、暗い…青くなっていた。

「えーっと…」

雲雀は群れている奴が嫌いだから別に不思議ではないが、『独りでこい』みたいなメールをよこすあたり何かしら裏があると思っていいだろう。

ディーノさんもきっと勘づいているからこそ、の表情か。




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