駄文A

□未定
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久し振りの休暇、ディーノは幼いころに来たきりだった公園を散歩していた。

平日とはいえ自然豊かなこの公園に親子連れは多く、のどかな雰囲気にディーノは頬が緩む。

今も昔も、この辺りは変わらない。


「…あ、」

そして、木陰にスヤスヤと穏やかに眠る少年の姿がディーノの目にはいる。

絵に描いたような神聖ささすら感じられるほど、綺麗だと思ったのだ。

「…なにか用?」

眼を瞑ったまま聞かれて、ディーノはハッと意識を戻す。

そんなディーノを片目で確認した後ゆっくり起き上がる。


「えーっと…」


沈黙―

まさか見入ってしまったなどといえるわけがない。

ディーノは眼をあちらこちらに移動させて、言葉を探したものの適当な言葉が見つからなかった。

なかなか答えないディーノに少年は眼を細めた。

「…?」

少年の纏う雰囲気を敏感に感じ取ったディーノは右往左往していた視線は少年へとむけられる。

「…なにか用?」

少年からの異様な雰囲気は消えていて、また聞かれて。

「わ、悪い!昼寝の邪魔したか?」

「聞いてるのはこっちだよ」

「…その、なんつーか、見とれてた、ってーか…」

他に言葉が思い浮かばないディーノは素直にいった。

すると、少年はなにも言わずにディーノに背をむけて歩いていく。

「あ、おい、待てよ、きょうや。」


大きな声で呼び止める。
しかし、少年―きょうやは構うことはなく。

「待てって、……と!」


べしゃ、という音が聞こえてきょうやは振り返ると。
そこには、大の大人が地面にはいつくばって情けない声をあげていた。

「いてぇ…」

赤くなった鼻をさすりながら、起き上がる。
その様子にハァとため息をはいて、そっとディーノの手をとった。

「世話がやけるね」

「う…」

ニィッと目を細めて微笑されて、カァ、と鼻に負けないくらい顔を赤くした。

子供に笑われる俺って、と少しヘコんだディーノだった。



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