駄文

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《その想いはいつまでも》




「恭弥、イタリアに帰るな。だから‥サヨナラ」

貴方はそう言って応接室を後にした。

いつもなら

『またな。』

『バイバイ』

決して

『サヨナラ』

なんて言わなかった。

余りにも突然で、

でも、

僕は

言葉の意味を頭の中で理解しながらも

呼び止める事はしなかった。

いや、

出来なかったのかもしれない


僕はいつだって欲しい物全て手に入れて来た

貴方だって例外ではなかった

欲しかった

だから、手に入れた

でも

貴方はいつもフラフラとどこか僕の知らないとこに行って

でも

いつも戻ってきてくれた
どんなに我が儘を言おうとも

どんなに乱暴にしても

それでも

ずっと笑って傍にいてくれた

これからもずっと

貴方と同じ道を歩みと

ずっと2人で手を繋いで

そう思っていたのに



僕の胸は今にも締め付けられて

息も出来ないほどに



「ど‥し、て‥」

やっと発した声は掠れていて


それほどまでに

僕は

動揺していたのか


それとも


それほどまでに

貴方の事が

好きで好きで


どんなに言葉を紡いでも

どんなに

好きだと思っているの


そんな

『サヨナラ』

安い言葉で

全てを無かった事にするつもり

僕との関係も

幾度となく愛し合った事
下らないくらいの

日々の日常でさえ

思い出にも残さないの



冗談じゃない


帰る貴方は良いよね

誰かが待ってる故郷で

好き勝手やっていれば


でも、僕は?


僕は‥‥‥


一人で残って


貴方と過ごした

この場所

この道

この空間で

いつまでも

貴方の

誰にでも優しい笑顔

でも僕にしか

見せてくれなかった

その太陽のような眩しいくらいの笑顔さえも


僕が此所に居る限り

貴方の事を

幻を

ずっと


思わされて

見さされて

ずっと貴方のことを

想い続けるの?




そんなことを

いつまでも

引きずって暮らすの?



いつか

忘れる事が

いつか



きっと
それは

無いんだろうけど


だって

どうしようもなく

貴方の事を

愛しているから

いつだって

貴方の事を考えない日なんて無かった


なのに


どうして
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