駄文A
□未定
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次の日、ディーノは探偵事務所の仕事で、書類を整理していた。
ネコ探しから、人探しに、浮気調査や、警察からの依頼と結構幅広い。
「結構やって来てたんだな…」
過去の仕事の書類を眺めながら懐かしい気持ちになり、けらけらと思いだし笑いをして。
「そういや、これ…」
「ディーノ、少しいいですか?」
一枚の紙に目をとめた途端、コンコンと数回ノックしたあと、骸が扉をあける。
「どうかしたか、骸?」
「少し協力をお願いしたいのですが」
骸とディーノはいつからか協力しあうようになっていた。きっかけはいつだったかあまり覚えてない。
だが、いつも単独捜査をしがちな骸が自身を頼ってきてくれるのは嬉しかった。だからディーノは出来る限り骸の手助けをしていたし、骸もまた探偵で必要な状態があれば情報を提供したり、要望があれば警察を借り出したりしていた。
「ああいいぜ。急な仕事と無いし」
コーヒーでも淹れようか?
「ええ、お願いします」
* *
「それで、囮捜査か?」
「いえ、潜入捜査です」
「潜入…どこに?」
「とあるマフィアの、ヴェルドゥーラファミリーといいましてね、麻薬から銃火器といったものを流しているとか…」
「そりゃ見過ごせねーな」
「ええ。マフィアは百害あって一利なし…奴等は害悪でしかありません」
「…そうだな、けどよ、あんまり無茶なことはすんなよ。」
「おや、僕の心配をしてくれてるのですか?」
「うーん…どっちかというと…マフィアの方かな…よりによって骸に目をつけられるなんてさ…」
「それはどういう…?」
「お前容赦しねえからだよ。辺りを火の海にしただろ、一度」
「クフフフ…そんなことありましたか?」
「まあ…新聞には幸いにも書かれて無かったけど…あんまりそんなことしてたら、叩かれるのは骸だぞ」
「…僕なら大丈夫ですよ」
「その心配はどっから…ま、いっか。で…俺は?潜りこめばいいのか?」
「ええ。といっても、彼等はほとんど疑ってませんがね」
「え?」
「実は随分前から潜りこんでいたんですよ」
「ええー?!で、でもお前有名なんじゃ」
「ですから、まだ警察にも顔を知られてない僕の弟子を」
「弟子?クローム?」
「クロームは僕と同様少々知られてますから」
「あ、そっか…って、誰?」
「それは後ほど。」
「つーか、俺必要ないんじゃね?」
「いいえ、確かに彼等の信用を得ていますが、信頼ではない…ファミリーの中でも下っ端のものとしかあえないらしくてね。」
「んで?」
「奴等を一網打尽にするためには、もう少し信用を得なくてはいけません」
「…ふーん…」
「そこで少々危険が伴いますが、貴方にそのファミリーを捕まえるフリをして頂きたい」
「ふり?」
「ええ。下っ端の中でも新人が入ってきたようでして、その一人から情報が漏れてしまい、彼等の売買ルートの一つを貴方に潰してもらいます」
「いいのか?そんなことして」
「ええ。そして、僕の仲間が彼等を助けて確固たる信頼を勝ち取る」
「おい…大丈夫なのかそれ」
多少強引な気がしないでもない。骸の計画はときに繊細であっと驚くようなものもあるが、たまにこういう強引すぎる計画も。
「大丈夫です、まぁ、出来の悪い子どもですが…なんとか出来るでしょう」
「なんとかって…」
「心配はいりません。多少貴方には危険な役を演じて頂かないといけませんが…」
「俺は大丈夫だぜ」
「危険と感じれば、あまり深入りはしないよう。マフィアはなかなかに狡猾ですから」
「ははは!心配してくれてありがとうな!けど、心配しなくていいぜ!!任せとけ!」
「ではお任せしましょう」
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