短編小説集
□赤羽業:遠くても…
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赤羽業:遠くても…
どんなに遠くても…
君を想ってる…
ずっと…ずっと……
………
「名前〜!こっち!」
『あっ!カルマぁー!』
どんな人混みの中でもいつも俺の方が先に見つけてしまう…
大好きな笑顔で手を振る俺の1番大切な人…
「疲れたっしょ?荷物持つよ。」
『ありがとー!あれ?カルマ、また背伸びた?』
「まぁ成長期だしねー。
名前は小さくなったんじゃない?』
『失礼なー!!
なんかずっと小さいまんまのカルマのイメージだから久しぶりに見るとびっくりしちゃうんだよね〜!』
……
名前の母親と俺の母親は学生時代からの親友で赤ん坊の頃からずっと兄妹のように育ってきた仲だった…
住む場所は遠かったけど…毎月お互いの家に泊まったり…
旅行もたくさんした…
……
思春期になって…
家族旅行には参加しなくなっても名前達と行く旅行には必ず顔を出した…
そう…
俺は物心ついた時からずっと名前が好きだった…
でも…
この気持ちは絶対に表には出せない…
なぜなら…小さい頃から母親達に耳にタコが出来るくらい聞かされてきたから…
"あんた達は兄妹だからね!
恋愛感情は持ったらだめよ〜!"
きっと一生隠していくことになるこの気持ち…。
それでも…
『カルマ、手、繋ごう?』
ギュッと握られた手から伝わるこの温もりを、この想いを、今は大事にしていきたい。