短編小説集
□赤羽業:勢いづいて
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赤羽業:勢いづいて…
__その日は肌寒い朝だった。
目は閉じたまま布団の中で寝返りをうつと何かムニムニとした柔らかい物が掌に当たった。
寝ぼけていたので驚きもせずまた手を動かしてみると、生温かい、人の肌のような、更にモチモチとした感触。
唸るような声もしたので不信感を覚えながらも、ゆっくりと目を開けると、名前が一緒に寝ていた。
!!!?/////
その時、俺は自分でも分かる程、一気に血の気が引いた。
…俺…今……変な所…触ったりし…た…?
妙な罪悪感に襲われ、恐る恐る布団から出る。
て、言うか……何で名前と一緒に…?
起きたばかりの頭を目一杯回転させて、昨晩の事を思い出す。
――昨日の夜は久々のE組の飲み会で、久しぶりに参加した俺は勢いづいて、いつもより多くアルコールを摂取したことを思い出す。
正直そこからの記憶がない。
スヤスヤと気持ち良さそうに眠っている名前の寝顔に目をやる。
ダメだ。やっぱ記憶にない。
……もしかして、俺が誘った?
『んんん……カルマ…くん…?』
「…起きた…?」
声がしたので話かけてみる。
『……!?ココ、どこ!?』
名前はガバッと勢いよく起きた。
『あ…私…』
「……ココ…俺の部屋。」
『……!!!?///』
「…とりあえず服…着ようか」
俺は背を向けて彼女から視線を逸らした。
『!!!?////』
この名前の慌てた様子を見ると…
酔った勢いに任せて…
くそっ…最低な男だな…俺は…。
俺は背中を丸め片手で顔を覆う。
『あ、あのね…私…嬉しかったんだ…////』
……。ふと背後から聞こえた名前の声に思わず振り返る。
真っ白いシャツを羽織っただけの彼女は軽くウエーブの掛かった長い髪を揺らしながら優しく微笑んだ。
『カルマくんのこと…ずっと好きだったから///』
思いがけない彼女からの告白に、俺はただその場で固まるしかなかった。
シャツの間から見え隠れする白い肌や、胸の谷間、折れそうなほどの華奢な身体…
そして、柔らかい表情の彼女…。
俺は彼女を意識せずにはいられなかった…。