短編小説集
□赤羽業:ポッキーゲーム
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赤羽業:ポッキーゲーム
隣の席のカルマくんとは、すごく気が合う。
不良とケンカした話も、イタズラした話も全て私にとっては新鮮で聞いていて飽きないのだ。
そんなカルマくんは、私のことを変わってるって言うけど、私は全く自覚がない。
そして今日は11月11日!ポッキーの日!
一度やってみたかったこの遊びを、カルマくんで試してみようと、さっそく声を掛けた。
『カールマくん!ポッキーゲームしようよ!』
「え?何?名前は、俺とキスしたいんだー♪意外と積極的なんだね〜。」
全く…この男は…。
『違うよ!!ポッキーゲームだよ!!』
そう言ってもカルマくんは、結果的にはチューするんでしょ?とか言うから、過程を楽しむ遊びだと私は反論した。
「じゃぁ、しょうがないからやってあげようかな〜。」
ニヤリと笑ったカルマくんに気づかないまま、私は箱から1本のポッキーを取り出し、端っこを軽く口に含んだ。
ん!と、そのままカルマくんの方へポッキーを向けると、カルマくんは勢いよくポッキーの先端を咥えてきた。
『!!!!?///』
思いがけず、間近に迫った整った顔や彼の香りにドキッとしてしまった。
こ、これはマズイ…。
そう思いポッキーを口から離そうとした瞬間、カルマくんの手によって、後頭部を固定されてしまい動けなくなった。
『んんむっ…ちょっ…』
そう言葉を発したときだった…
___チュッ…
私のファーストキスは、ポッキーゲームによってカルマくんに簡単に奪われてしまった…。
「ごちそうさまー♪甘くておいしかったよ。」
『………/////』
満足そうにニヤリと笑うカルマくんに、私は何も言えなかった。
奪われたものは唇だけじゃなかったと気付いたのは、この数日後のことだった。