短編小説集

□赤羽業:遊園地
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「………。ねぇ、他のにしようよ。こういう他人頼みのリスキーな乗り物は…」


『なーに、言ってんの〜カルマ!遊園地の醍醐味と言えばやっぱりコレでしょ!


ジェットコースター!!!』



今日はカルマと付き合って初めての遊園地デート!
私は絶叫マシーンが大好きで、大好きで、この日が来るのを何日も…何週間も前から楽しみにしていた。


『カルマとジェットコースター乗るの、すっっごく楽しみにしてたんだよーっ♪』

私は満面の笑みを浮かべながら、カルマの腕に自分の腕を絡めて歩き出した。
自分でもいつもよりテンションが上がっていることを自覚していた。
だから、まさかカルマが絶叫マシーンが大の苦手なものだったなんて気が付かなかった。



ガタン…ガタン…ガタン…


ジェットコースターに乗り込んだ私達は偶然先頭車両になり、ゆっくりそれは動き出した。


『わぁー!動いたっ♪』

業「………。」


そんなテンションが、高くなる私とは正反対に段々口数が少なくなるカルマを私は不審に思った。


『カルマ?』



「ねぇ…コレ乗ってる時間何分くらい掛かるの…?」

『えー?んー1分半〜2分くらいなんじゃないかなー?何で?』


「1分半〜2分……。」


『…ねぇ、どうしたの?カルマ…』


「……苦手なんだよ…。こーゆーの。」

『……は…はぁぁぁぁぁ??!!!』




その瞬間マシンは真下に落下するように滑り落ちて行く。



『ツツツーーーっ!何で、言わなかったの、カルマーーーっ!!!』

業「…………。」


恵利『ちょ、カルマ?!』


業「……ッ…。」


___ギュッ!!

ふと手を見れば、カルマが私の右手を力強く握ってきた。

どんどん顔色が青ざめていくカルマを、落ち着かせるよう私も指を絡めるように手を握り返した。











『もう!何でちゃんと先に言ってくれなかったの?!ジェットコースター苦手だって!』



ジェットコースターから降りると、フラつきながら歩くカルマを私は何とか支えながら、近くにあるベンチに腰を下ろした。




「……じゃん…。」

俯いたまま、口を開いたカルマは何か訴えようとしていた。うまく聞き取れなかった私は顔をカルマに近付けた。



「乗れないとか…カッコ悪いじゃん…。…名前は楽しみにしてたのにさ…」



『…カルマ…。』


そのとき、ハッ!として、気付いた。
いつもフランクで飄々としていて、人を食ったような話し方をするカルマ…。
もちろんプライドだって高い。

そのプライド高いカルマが私の為に、自らが不利になる苦手なものに挑戦したことが、私の心臓を高鳴らせた。

………。


『…ありがとね、カルマ…。大好きだよ//』




私はそっと、触れるだけのキスをカルマの頬に落とした。
 

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