□よろこんでほしいな。
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ユウにいちゃんのお誕生日って、毎年なにを送るかいっつも悩むんだ。
「……で、つぐみ、お前は一体何がしたいんだ?」
学校帰りにユウにいちゃんち寄って(ちゃんとお母さんには遅くなるーってゆったよ?)、帰ってくるの待ってた。いちお昨日のうちに『遊びに行っていい?』って聞いてはいたからユウにいちゃん急いで帰ってきてくれたみたい、ドア開けて入ってきたときちょっと息切れてたもん。
「んー……もちょっと待ってて」
なのに頑張って早く帰ってきてくれたらしいユウにいちゃんをリビングに置いて、私は寝室に一人でいる。もちろん別に喧嘩してるとかそんなんじゃなく、自分で決めてきたのに今更後込みしてるだけ。
むうってひとりでどんなに唸ってみても、目の前にある白い布がいやに眩しくて正視出来ないのは変わらなかった。プレゼントいろいろ考えて迷って、去年はうさぎさんのネクタイピンだったから今年はどうしよって考えたとき、私はものすごーっくよこしま?ってゆうのかな、うーんと、とにかくこういうときじゃなきゃあんまり出来ないこと、思いついたんだ。ほら、よくあるアレを。よく聞く定番のアレを。
でももう決めたことだし考えたって仕方ないし、待たせてるのも嫌だし私もユウにいちゃんと少しでも長くいたいしで、ここはお祝い事だし勢いだいじ!ってことで私は自分の首もとちょっと触って確認して、それからえいやっとばかりに目の前の布を引っ掴み、装着完了いざとばかりに寝室のドアを勢いよくどばーんと、どばーんと……向こう側に開ける寸前で。
「ちょ、なんで開けるのユウにいちゃん!……ユウにいちゃん?」
待つのに飽きたのかタッチの差でユウにいちゃんがドアを開いちゃった。んで、部屋の中覗き込んで私の姿見て固まって、そのまま後ずさってすすすーっと開いたドアがまた閉じようとするから。
「なんで閉じるのー?」
恥ずかしいけど私なりにユウにいちゃんのこと目一杯お祝いしたくて勇気だしたのに、一目見て見ない振りとか余計に恥ずかしいよってこっち側のドアノブに手をかけドアを開こうと押す前に、今度はすごい力で引かれてしまって。
「んきゃっ」
「……んとに、お前は何がしたいんだよ」
重心がぐらついてよろけたところをユウにいちゃんが抱き留めてくれた。でもいつもみたいに抱き締めてはくんないし、はあって溜息降ってくる。やだなあ。溜息つかないでよって見上げたら、今度はすいっと視線まで逸らされちゃう。もうもう、そんなにへん?私がんばったけどユウにいちゃんあんまりこういうの好きじゃないのかな、嬉しくないのかな、ぜんぜんこっち見てくんないんだもん。喜んでもらいたいのに喜んでる風にもぜんぜん見えないし……って、考えたらすごく、さっきまでよりももっと、ほんとにほんとに恥ずかしくて居たたまれなくなってわたし、どうしてこれ選んじゃったのかなって思ったら。
「……ごめんなさい。すぐ、着替えてくる」
泣きそうなのぐっと堪えた。だって泣いたらユウにいちゃんは優しいからきっと謝ったり慰めてくれる。でもユウにいちゃんのお誕生日なのにそんなことさせたくないから俯いて、顔見られないようにそうっと離れてドア、また元通りに閉めようとしたんだけど。
「は?なんで?」
やっとこっち向いたユウにいちゃん。でも何でとか言われてもそのユウにいちゃんが嫌なら意味ないもん。だから着替えるから、ドアから手、離して。早く隠してしまいたいのに。
「はぁ……」
空いてるもう片方の手を額に乗せて、ユウにいちゃんまたおっきな溜息ついてる。もうほんとにやだ。一生懸命考えても結局困らせてたら悲しいよ。だからね?その手離してドア閉めさせてって、引っ張ろうと力入れてドアノブ握ったらまたしても。
「ひゃ、なに、ユウにぃ……、ん」
ちゅって、唇にキスひとつ。それから肩口にもうひとつ。それが始まりで。
「ゃ、な、に? ゆ、ぅに……やっ、だめっ」
するんて肩のとこ、下へと落とされる。そうするとなぁんにも付けてない胸、直に空気にさらされちゃう。なんでこんな格好してんだよと苦々しい顔、ユウにいちゃんはしてるけど、手はどんどん動いておしりをぷにぷに、揉まれちゃう。
「何でって、たんじょうびだか、ら…?」
「だからってなあ、お前……」
裸にエプロンとか何考えてるんだよって、はあってまたまた溜息ついてる。でもそんなに嫌なら触らなきゃいいのにって思うけど、無防備な背中撫でられるしどんどんどんどん、ゆび、エスカレートしてくし。
「やんっ」
つぷんと背後からわたしのおしりを通り隙間を縫って、直接ゆびがわたしのナカに入ってきた。そうして浅いところをくにくにイタズラしながらお前ってほんとすけべだよなぁって……違うもん、えっちなの、ユウにいちゃんだよって言い返す前に、私のいいとこかき回すゆびがわたしの言いたいことぜんぶ、曖昧にさせちゃうの。
裸えぷろんは嫌いなの?
いい、着替えなくて
でもこのかっこ、嫌なんじゃないの?
んなこと言ってねぇよ
じゃあ、好き?
……それ、答えなきゃなんねぇのか?
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