夢日記ー[文]

□交わした約束
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ー涙色の恋ー


もし出会わなければ
もし話し掛けて来なければ
もし助けなかったら
もし冷たくされていたら

私は『彼』を好きにならずに済んだのに
ずっと『あの子』のことを応援出来たのに

結果的に私はあの子を傷つけ、そして
裏切ってしまった

『彼』は何の取り柄も無い
地味で根暗で物静かすぎる私に
何度も何度も話し掛けてきてた

「もう放っておいてほしい」と言わんばかりに何度も何度も
正直嫌いだった。誰にでも笑顔で愛想振り撒く『彼』が
私は嫌いだった。それなのに...

何故だか心の底から嫌なやつだとは思えなかった
ただの苦手意識...か。彼はクラスの中心的な存在だった
常に人気者でいつも友達に囲まれていた

おまけに頭も良くて運動神経バツグン!
文武両道...とは、彼のことを言うんだろう
誰にでも分け隔てなく接することができて
剣道の家系で育ってるからか礼儀正しく
そして、何より真っ直ぐで優しい...

ここまで整った人間を見たのは初めてで驚いた。
私とは全く正反対な『彼』を
そう簡単に受け入れることができなかった


受け入れられるはずがない...
上手く目を開けられない程、眩しかった

彼の温かさに、優しさに、笑顔に
心が震えた。彼の光がいつか私を照らし出してくれるような、そんな錯覚さえ覚えた。
次第に彼と話すのが楽しくなって、いつの間にか惹かれてしまっていた自分がいた

話す、というより私は殆ど聞き手だった。
ある日の席替えで真ん中の列の一番後ろが『彼』
その前が『私』と前後になって
同じ班になり関わることが多くなった

この幸せがずっと続いていけたら、と
寝る前に何度も神様に祈った。
だが、それが『間違い』なのだと
気付いた時にはもう既に
手遅れだったんだ
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