非日常の詩ー[詩.ポエム]

□目を閉じたら「おはよう。」
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孤独な迷い子


彼は外の世界に自分を作り出す「外交的」
私は内の世界に自分を生み出す「内向的」
私たちは一体いつからこんなにかけ離れてしまったんだろう
あの頃から二歩も三歩も大人への道を歩み始めた彼
なのに私は一歩も変わらずいつまでも子供で止まったまま

いつの日か私がまだ知らない彼を見つけてしまった
彼はテーブル越しに煙草を1本くわえ吹かしていた
彼は友達と同じ灰皿に何本もの煙草の吸殻を置いていた
彼は男友達数人と楽しそうにビールを飲み交わしていた
彼は「体育会系には似合わない」と言いながらワインを飲んでいた
彼は「祝いの品だから」と贈られた『六文銭』という高級そうな酒を片手に喜んでいた
彼は『ピエロ』というGAMEにハマっていて夢中になってるんだってさ
本当の名前は『JUGGLER』というスロット...ギャンブルの一種だよ、知ってた?
彼は...彼は...こんなアナタなら知らないままでいる方がよかった。

私はそんな変に大人びた彼が見たかったんじゃない
あの日の彼のままでいるなんて、そんなこと出来ないって無理なんだって分かってる
受け入れられないのも認められないのも弱い自分のせいだって十分すぎるよ
だって私が知ってるのは紛れもなく優しくて純粋だった小・中学時代の彼
逆に言えば高校も大学も...現在(イマ)の彼さえ何も知らないんだ
それなのにまるで我が者顔で語っちゃって「何様気取りのつもりなんだい?!」
そう言われても、そう思われても彼を愛する気持ちは止められないんでゴメンなさい!
彼の中にあの日の私と同じ陰のようなものが見えた気がして少し怖かった。
彼も私と同様に私の中に幼き日の自分の陰を重ねて見えてしまったんだろうか。
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