いちご牛乳の君

□8パック目
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そして、あっという間…ではなかったけれども、ついに土曜日。


予定よりも早くツキノ寮に着いてしまった。
場所も分かったことだし、何処かで時間を潰そう、と、寮を後にしかけたその時、後ろから声がかかった。

「あの、もしかしてルナPさんですか?」

振り返ると、ランニングから帰ってきた神無月君の姿があった。



「はい。私がルナです。…早く着いてしまったので、どこかで時間を潰そうかと…」
「今から寮に入ってもらっても全然大丈夫なので、よかったら入りませんか?」

私は神無月君の提案に乗ることにした。


「とりあえず、プロセラのフロアに行きましょうか。」

そう言った神無月君の後に続いてエレベーターに乗った。



「…改めまして、ルナです。本名は香月綾です。神無月さん、ですよね?」

話すことが無かったので、自己紹介をすることにした。

「はい!神無月郁です!よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願いします。」


「あの…その…敬語は無しにしてもらえませんか?俺よりも年上ですよね?」

なんておずおずと言った神無月君。



「うん。じゃあ、敬語は無しにするね。改めてよろしく、神無月君。」

ちょうど、エレベーターのドアが開いた。





エレベーターを降りてすぐに、
「あ、綾姉にいっくん!」
という涙の声がした。

見ると、運動が得意じゃないながらもこちらに向かって走ってきている涙の姿があった。

「おー涙!会いたかったー!!」
「はあっ…はあっ…早く着いた、なら、連絡、くれれ、ば、よかった、の、に」

私たちのもとにたどり着き、涙は息を整えながら不満をこぼした。


「え、お姉ちゃん……?」

私と涙の関係が飲み込めていないのか、クエスチョンマークを浮かべる神無月君。



「うん。実は涙の幼馴染です。」

そういうと、理解してもらえたようだった。



共有ルームに案内してもらうと、年中の二人がいた。


「あ、陽さん、夜さん、ルナPさんをお連れしました!」

そんな神無月君の言葉に、二人はこちらへやって来た。


「葉月陽です。よろしくお願いします!」
「長月夜です。よろしくお願いします。」
「ルナ、もとい香月綾です。こちらこそよろしくお願いします。二人とは同い年なので、敬語は無しでお願いします。」
「りょーかい!つか同い年なら綾もタメな。オレのことは陽でいいぜ!」
「俺も敬語は無しでお願い!あ、名前呼びでいいよ!……香月さんのことも名前で呼んでいい?」
「うん。じゃあ、陽君、夜君、よろしく!」
「“君”なんかつけなくていいのに。」
「んー。なんか呼び捨てって慣れなくて。あ、残りのお二方は?」


そう訊くと、夜君いわくもうすぐ戻ってくるとのことだった。
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