素敵帽子の姉さんは…
□参話
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そして遊戯は終わった。
結果は……
「私の勝ちだね、治。」
伸びをしながら、勝ち誇った顔で私はそう言った。
「さすがだねえ、姐御は。」
私は日暮れ迄、口を割ることはなかったのだ。
「約束だし仕方ない。夕飯はご馳走するよ。」
何がいい、と訊く治に、じゃあラーメンでと答える。
「いいよ。丁度、姐御に紹介したい店があったんだ。」
「それは楽しみ♪……ところでさ。」
私は声の調子をガラッと変えた。
「ん?」
そんな私の変化に、改めてこちらを見てくる治。
「私の好きな人、知りたい?」
「え、教えてくれるの?」
治は今までで一番の驚いた表情を見せてくれた。
「うん。治になら言ってもいいかなーって。」
「なら、興味あるな。姐御の好きな人のこと。」
「私の好きな人はね__」
私はもったいぶって治の横を通り過ぎ、部屋のドアまで歩いた。
「君だよ、治。」
言って、部屋を出ようとすると、治に抱きしめられた。
「治……?」
普段の治からは予想できなかった行動に困惑を隠しきれない。
「言い逃げは駄目だよ、姐御。返事、まだしていないからね。」
「う…うん……」
「私も。私も姐御のことが好きだよ。」
囁くようにそう言って、治は私を自分と向かいあわせた。
「というか、私から言おうと思っていたんだけどなあ。やっぱり姐御には敵わないや。」
窓から差し込む夕日を横目に、二人の影は重なった。