いちご牛乳の君
□番外編【メリークリスマス2016】
1ページ/2ページ
12月24日(土)
ツキノ寮で開催されるクリスマスパーティーに招待された私は、朝から寮に来ていた。
午前中は年少組と一緒に部屋を飾りつけるべく折り紙で輪っかを作ったりし、昼からは、夜君と葵君と三人で夕飯の準備をしていた。
葵君がケーキ担当、その他は私と夜君が担当することになり、つまみ食いに来た新たちを追い返しつつ唐揚げを揚げたりして、今はもうケーキ以外は全て食卓に並んでいる。
全員が席についたところで、駆君と恋君の司会の下、パーティーは始まった。
作った料理を美味しいと言ってくれたことが嬉しかったし、何よりこんなに大勢で食卓を囲んだのは初めてで、楽しかった。
程なくして完食し、次はいよいよケーキ。
皆で手分けしてお皿を片付けたり、紅茶を淹れたりと準備をする。
ケーキもすぐになくなり、プレゼント交換も終わって、皆はやりたいことをして過ごしている。
恋君にゲームを一緒にしよう、と誘われて、どうしようかなと迷っていると、不意に名前を呼ばれた。
「綾、ちょっといいか。」
「うん。私も新に用事がるし。てことで、ゴメンね、恋君。また今度、誘ってくれたら嬉しいな。」
そう言うと恋君は残念そうな顔をし、そんな恋君に、新はドヤ顔をしていた。
ケンカになりそうだったので、新を引っ張って共有ルームを出る。
勿論、新への用事であるところのクリスマスプレゼントを持って。
「おじゃましまーす。」
「おー」
という訳で、新の部屋に来た私たち。
「ハロウィン以来かも」
「そうだな。…て、何赤くなってるんだ?」
はい。
確かに私の頬には熱が集まっていますとも。
理由は簡単、ハロウィンの時の事を思い出したからだ。
「あー成程。思い出したんだな。」
なんて言ってニヤニヤする新に、うるさい、と返す。
「はいはい、と。じゃあ、綾。改めて、メリークリスマス。てことで俺からのプレゼントだぞ。」
そう言って、新は可愛らしい袋をくれた。
「ありがとう!じゃあ、私からも。新、メリークリスマス!」
「おー。サンキュー。」
お互いにプレゼントを渡したところで、じゃあ今開けよう、ということになった。
新がくれた物は……
「可愛い!使うのが勿体ないくらいだよ!」
桜のピン止めだった。
「本当にありがとう!」
「喜んでもらえて何よりです。あと、俺の方が使うのに躊躇するぞ。」
「えー。どうして?」
「だって彼女の手編みマフラーだぞ?大事にするだろ。」
そう。私がプレゼントとして用意したのは、指編みマフラーなのだ。
「そんなに大した物じゃないし…」
「いやいや。大事にするから。」
「ありがとう。」
と、新が変なことを言い出した。
「にしてもアレだな。」
「ん?」
「これじゃあ俺が用意した物じゃ釣り合わないな。」
「え?」
そこまで聞いて、新が何か企んでいることに気づいた。
「いやいや。釣り合わないとか、そんなことはないと思うけど?」
「いや。俺の気が済まない。……てことで追加。」
そう言った新は、なんと接吻をしてきたのだった。
「ちょ、新!」
「おー赤い赤い。」
皆さんもいきなりは無しだと思いませんか!?
ハロウィンに引き続きやられてばかりの私。
という訳で、私の方からも不意打ちを狙ってみたのだが…
私から接吻をすると、ほんの一瞬は驚いた顔をしたものの、逆に後頭部と腰を抑えられて返り討ちに遇いました。
ドヤ顔をした新を見て、恋君の気持ちが分かったような気がした。
まあ、ああいうところも含めて新のことが好きなんだけれども。
その後は、大体はハロウィンの時と同じような感じだった。