いちご牛乳の君
□8パック目
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_翌日_
学校に行くと、珍しいことに卯月君と葵君の姿はまだ無かった。
仕事で休みなのだろうか、などと考えていると、ドアが開いて二人が登校してきた。
「おはよー」
「おはよう、卯月君。」
「おはよう、綾ちゃん!」
「おはよう、葵君。何かいいことでもあった?」
そう。今朝の葵君はいつにもましてテンションが高く、ニコニコしているのだ。
「あ、顔に出てた?」
「そりゃもう、バッチリ。」
やり取りにデジャヴを感じて、顔を見合わせて笑った。
「実は、ルナPがグラビとプロセラの合同曲を作ってくれることになってさ。」
「へっ…へぇー。よかったね。」
予想はしていたけれど、動揺を隠すことはできず、ぎこちない反応をしてしまった。
「それだけでも嬉しいことだけど、土曜日に打ち合わせで会えるんだ!!」
「おめでとう。」
ここまで喜んでもらえるのは喜ばしいことだが、ルナが私だとは言えなかった。
まあ、でも、土曜日に言えばいいか。
相変わらずこの話をしている時の卯月君の視線が痛い。
多分気づいた、かな。
「はぁー。」
葵君に言い出せない自分が嫌になって、誰にも聞こえないようにため息をついた。