文豪ストレイドッグス365

□バレンタイン チョコを渡そう_組合編_
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島崎です。


本日はバレンタインということで、皆さまにチョコを渡そうと思います。




……あ、早速、一人目を発見しました。
向こうも私に気が付いたみたいです。



「やっほー馨ちゃん。」
「……マークさん。」
「丁度、探してたところだったんだよねー。」

そう云って鞄の中をゴソゴソするマークさん。

「…あったあった。はい、これ。ハッピーバレンタイン!」
マークさんは私にチョコをくれました。


「……え?」
「ん?」

二人して微妙な表情のまま固まります。
そこで島崎は気づきました。
彼らは外国の人。
つまり、彼らの中ではバレンタインとは男性が女性に贈り物をする日なのです。



「……日本では、女性がお世話になった人にチョコを渡す日なので。」

そう説明すれば、マークさんはなるほど、と納得した様子。



「……なので、私もマークさんにチョコを用意しました。……どうぞ。」
「うっそ、マジで!?ありがとう!嬉しいなー。美味しく食べるね!あ、そうそう、ボスが呼んでたよ。」
「……了解です。」


さて。
それではフランシス様の執務室に向かうとしますか。
ここからはそれなりに距離があるので、道中で他の人にも会えるでしょう。



……あ。二人目を発見しました。

こちらには気がついていない様なので、声をかけてみようと思います。


「……ミッチェルさん。」
「あら。馨じゃないの。何の用かしら?」

ミッチェルさんはいつもツンとしています。


「……今日はバレンタインなので、ミッチェルさんにチョコを用意しました。」
「はぁ?普通は男が何か用意する日でしょう?」
「……日本では、女の人がお世話になった人にチョコを渡す日なので。……どうぞ。」
「ま、まあ、受け取ってあげてもいいわ。」
ミッチェルさんはそう云って受け取ってくれました。
マークさんに教えてもらった『ツンデレ』というやつでしょうか。



ミッチェルさんと別れて先へ進むと、今度はジョンさんに会いました。

「やあ、馨ちゃん。」
「……ジョンさん。……ハッピーバレンタイン…です。」


私がチョコを渡すと、ジョンさんは子供のように目を輝かせて喜んでくれました。

「ありがとう馨ちゃん!僕からも、はい。」
「……ありがとうございます。……では、他の人にも配るので…」
「いってらっしゃい。ばいばーい。」
「……ばいばい。」

大きく手を振ってくれるジョンさんに手を振り返しつつ更に歩くと、ロビーに出ました。

ナサニエルさんが『せいしょ』を読んでいます。


「……ナサニエルさん、ナサニエルさん。」

私が声をかけると、ナサニエルさんは『せいしょ』をパタンと閉じて私に向き直りました。


「どうしました?お嬢様。」
「……えと…ハッピーバレンタイン…です。」

私がチョコを渡すと、何故か苦笑いされました。

……マズかったのでしょうか?



「ありがとうございます。…先に私から渡そうと思っていたのですが……どうぞ。」

チョコを渡したことが問題だった、という訳ではなかったようです。



「……ありがとうございます。……では、ルーシーちゃんのところに行ってきます。」
「はい。」






とは云ったものの、フランシス様の部屋に着くまでにルーシーちゃんに会うことはできませんでした。


まあ、先にフランシス様に渡せばいいか。

そう思ってノックしようと手を伸ばした途端、ドアが内側から開きました。



出てきたのはルーシーちゃんです。




「……ルーシーちゃん、ハッピーバレンタインです。」
「…あっ…ありがと!……って、馨もフランシス様に呼ばれてるんでしょ!?早く行きなさいよ!!

ルーシーちゃんはそれだけ云って、走っていってしまいました。






ルーシーちゃんの言う通りなので、失礼します、と声をかけて部屋に入ります。

私たちの会話が聞こえていたのか、フランシス様はクスクス笑っていました。


「やあ、すまない馨。あまりにも微笑ましかったからな。……私から、バレンタインの贈り物だ。」

フランシス様は、なんかこう……凄いとしか言い様のないチョコをくれました。




「……ありがとうございます。……私からも、ハッピーバレンタインです。」
「ありがとう。美味しくいただくよ。」
「……では、失礼します。」
「ああ。」







こうして、今日のミッションは無事遂行できました。



FIN
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