short story

□あなたが全て(リーリエ)
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私はそれまでこのアローラ地方のことを何も知らなかった

ククイ博士の助手としてそれぞれの島の地形からお店に至るまで聞いたこと、見たことをカントー地方から引っ越してきたナマエさんに教えてあげた



でも、それが全てではなかった。私が目を向けていないだけであなたは素敵なことを見つけてはこっそりと教えてくれた


普段なら出歩かない時間帯に二人だけで外に出て夜の道を歩けば肌に触れる風の優しさも眩い万華鏡のような星々の美しさも

同い年くらいの友達と食べるマラサダのおいしさも

不安でいっぱいでも手を取って名前を呼んでくれた時、どんなに心強かったかも

一緒に居られる時間が私にたくさんの色をくれた



鮮やかに広がっていく世界にいつでもその中心にはあなたがいて、微笑んで、手をそっと伸ばしてくれた

私はそれが嬉しくて、沢山甘えてしまって、心震える瞬間を共有して同じ空の下目的は違えど旅をして、この道をナマエさんも通ったのかな、なんて想像してみたり



旅立つときに残した言葉をあなたは覚えていますか?


だってさよならなんておかしいでしょう?

私は必ずまたこのアローラ地方を訪れようって決めていたんですから


あなたがいるこの島にまた私は帰ってきます



そして、たくさん聞いてもらいたいことがあるんです。カントーに行ってからできた大切な仲間、友達

まだまだなれないバトルもナマエさんに教えてもらおうなんて密かに計画してるんです

えへへ、私はまだナマエさんに甘えたいみたいです。ナマエさんは目標が見つかったでしょうか


ナッシーアイランドで真剣な口調と眼差しで告げたことを私はずっと鮮明に覚えています








「この船は間もなくアローラ地方に―――」



苦くてでも幸福だった時間を思い出して私は歩き出す




(カントーに行って帰って来た時の一部分を想像してみました)

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