short story
□強い絆とメガシンカ (カルム)
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"ポケモンとは何か"そう聞かれれば俺はまず一緒に旅をする大切なパートナーと答えるだろう
ジムでバッチをゲットできたのも、俺の旅を支えてくれたのも一緒にいてくれたポケモン達のおかげだ
"メガシンカとはなにか"そう問われて真っ先に思い浮かぶのはともに修行をしてメガシンカが出来るまでに絆を深めたアブソル
手持ちの中で唯一、メガシンカを使いこなし切り札として色々な場面で活躍してくれた
そして今―――
偶然居合わせたポケモンセンターで同じ部屋に泊まることとなったナマエが膝の上に寄りかかる俺のアブソルをブラッシングしていた
「気持ちいかな?アブソル」
「あぶっ」
優しく丁寧な手つきで真っ白な毛を梳かしていくナマエの横では俺があげたタマゴから孵ったチルットが進化してチルタリスになっていた
「ちぃるう」
「ふふ、くすぐったいよチルタリス」
自分もやってと急かすように肩口に顔を押し当てるとくすぐったそうに身を捩り、甘い眼差しが向けられる
「もう少し待ってね」と言われれば大人しく離れチラリとこちらを向いてから、ふいっとあからさまに顔をそらす
「(嫌われてるな)」
なぜかチルットの頃から俺は嫌われているらしく生まれたばかりの時、申し訳なさそうにチルットを俺に返しに来たナマエ
俺の腕の中に渡った途端、じとっとそれまでとは真逆の表情に変貌し見つめてきた
きっとあの一瞬の表情をこのチルタリスを見るたびに思い出すのだろうと思った
タマゴを渡したときそれ1つで綺麗だと思えるような笑みを浮かべ、幸せいっぱいの笑顔を見せられればあげて良かったと思ったし、元から返してもらうつもりなんてなかったんだ
ナマエが自分のことよりも他人のことを優先するのだって隣に引っ越してきておとなりさんになったあの日から変わっていない
そんなところに俺は好意を持てるしいいなと思う