short story

□微笑み返し (カルム)
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カロス地方での旅を終え、わたしはまだ埋まっていない図鑑のページを埋めるためにもう一度旅を始めることにした



アサメタウンから始まってジムバッチをゲットした順番に周りながらゆっくりのんびりと旅をしようと計画していた朝のこと、ジョーイさんにお礼を言ってポケモンセンターの入り口でふと、テレビで流れていた占いが目に入った




―今日は意外な幸運に巡り合うでしょう

自分の星座と占いの結果、いつもは残念な結果になったら嫌だなと思って見なかったのに久しぶりに見たそれに思わずラッキーだなって思った


今日はもしかしたらまだ出会えていないポケモンに会えるかも、なんてワクワクしていた







◇  ◇  ◇




「何してるの、カルムくん?」


コボクタウンを出てすぐ、7ばんどうろのリビエールラインを進んでいると前から自転車に乗ってこちらに向かってくる人がいた



荷台と前のカゴにはタマゴが入ったケースがくくりつけられていて、肩からかけるカバンにも同じケースが2つ覗いている


そしてなんと肩のあたりにとまっているのはカルムくんの手持ちであるファイアローだ


わたしをカルムくんも見つけて少し手前で止まると「ナマエ」と声をかけてきた


そして初めの会話に戻る











「何ってせっかく自由な時間が出来たからタマゴの孵化作業でもしてみようかなって、色違いのポケモンまだ見たことないから欲しいと思ってたんだ」


「そっか、ちなみに何のタマゴなの?」



そう言うと、にこっと笑った後カバンからケースを1つ出して「はい」と渡してきたのでビックリしてしまった


「え…」


「1つあげる。実際に孵化させてみれば分かるよ。…あ、でもそれじゃあ俺の余りみたいで嫌かな」


「ううん…ありがとう、大切にするね」


「どういたしまして、ナマエならきっとその子を大切にしてくれるって知ってるから」




腕の中のケースをぎゅっと抱きしめた

朝に言っていた占いはこのことだったのかと脳裏に蘇る。タマゴがすごく愛おしく思えてずっと抱きしめていたらカルムくんに「そんなに喜んでもらえたなら、良かった」と言われてますます嬉しくなって唇がほころぶのが分かった










「持って歩いていたらそのうち孵化するから」と言うカルムくんからのアドバイス。何しろポケモンのタマゴの孵化作業なんて初めてのわたしは素直にその言葉に従うしかなくて、タマゴが入ったケースを両手で持って、てくてくと次の町までの道を歩く



「しゃーん」

ふよふよと浮かびながら隣を歩くシャンデラ

タマゴのことが気になるみたいでチラチラと目配せをしながらついてくる

あのファイアローも特性がほのおのからだで少しでも孵化までの時間を短縮するためにのせていたと分かって手持ちの中にいるシャンデラにお願いしてみたところ「まかせろ」というくらい元気な返事が返ってきた



「どんな子なのか楽しみだね。シャンデラ」

「しゃんっ」

きっとどんな子が生まれてきてもカルムくんから貰ったというだけで特別なものに思えてくる

生まれてきたらたくさんの愛情を注いで大切に育てようと心に決めた









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