short story

□変わらない温もり (トウヤ)
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トウヤ、チェレン、ベル、この三人とは幼馴染だった
それこそ物心ついた時から一緒にいて仲が良かった
一緒のペースで新しいことを知って、成長して


きっとこの四人で10歳になったらポケモンを貰って旅に出るそう約束していたのに…


わたしは旅に出ることはできなかった





「ナマエちゃん、僕絶対に…」

トウヤと約束した
とても大切な約束だったと思うけれど今はもう、思い出せない




◇   ◇   ◇





「ナマエちゃんこのモンスターボールを男の子のトレーナーさんに渡してもらえるかしら」


「はい、ジョーイさん」



ケースに綺麗に並べられた6個のモンスターボール
回復が終わり後は持ち主であるトレーナーさんに返すだけだ



「今手が離せなくて、それが終わったら預かっているポケモンたちのブラッシングをお願いしてもいい?」


「大丈夫ですよ」






あの日から随分と時間がたった

今のわたしはこのポケモンセンターでジョーイさんのお手伝いをしていた。でも内容はポケモンフーズの調合だったりブラッシングだったり回復のためにポケモンを預かったり返したりと本当にサーポート的なことばかりだ



それでも、たくさんのポケモンと触れ合えることが何よりうれしかったし時々、回復に来たトレーナーさんとの会話がちょっとした楽しみになっていた



モンスターボールが並ぶケースを受け取り、受付に向かおうとした時

足元にほわりと温かな温度
目線を下げれば1匹のチラチーノがキラキラした眼差しを向けていた

そんな様子が可愛くてくすりと笑みをこぼしつつ、ケースを落とさないようにしゃがみこんでそのふわふわの頭をそっと撫ぜる



「チラチーノはブラッシングが大好きだもんね。あと少し待っててね」


「ちぃの」






旅に出られなかったわたしのたった1人の大切なパートナー
色違いのこの子はチラーミィだった頃は薄いピンク色だったが進化してその体は栗色にも似た毛の色になっていた





チラチーノも一緒にここでお手伝いをしてくれている
わたしの足元の近くをちょこちょこと可愛らしく着いてくるチラチーノに転ばないようにねと声をかけ視線を外し、受付につく



「ポケモンの回復が終わりました」


いつもどうりの言葉を並べケースをテーブルの上に置く
混み合っている部屋の中、1人の少年がこちらに近づいてくる




でも…その少年が




「ナマエ?」


「…トウヤ、くん」



幼馴染のトウヤくんだなんて知らなかった








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