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□また会いたい __1
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レンガの屋根したお洒落な一軒家が立ち並び、遠くにはおとぎ話に出てくるようなお城がかすんで認識できる。それらの街をぐるりと取り囲むレンガの塀。その外側は森で覆われており水平線の彼方まで緑。緑。ずっと森が続いている。屋根の上からは、その街を一望できる。それほど街が小さいというわけではない。むしろこの街は大きい方だと、彼、ドラえもんは思う。どうやら天使は視野が広いようだ。彼が守護天使だからなのかもしれないが。
ドラえもんは、守護天使である。彼が守護している人物は、前世の妹ドラミ。
彼や彼の周りの者達は、前世、何かがあって全員死んでしまった。しかし、彼は前世の記憶を持ったまま転生し、守護天使となって今を生きている。彼は死んでしまったものは仕方がない、と随分早くから現世を受け入れ自由に過ごしている。

守護天使は天使の中で最も低い階級に属し、人間に近い姿をしている。彼の容姿は、水色に近い澄んだ青の髪の毛で髪型はショート、髪より少し濃いめの青い瞳。服装はあの白い布のようなのをイメージしていたが、好きな服でいいようで青系統のパーカーを着ている。頭上では、天使の輪っかは綺麗に輝いており、背中からは小さめの白い羽が生えている。



「なんとか接触できないかなあ」
ドラえもんは首をひねった。前世の記憶があるドラえもんは、ドラえもんズのみんなでもう一度集まって、前みたいに馬鹿したいと思っている。ドラミの守護のかたわら他のドラズメンバーの情報を地道に集めてもいる。
自分やドラミは前世通りの名前だし、もう既に発見している王ドラやニガニガも変わっていないのだから、きっと他の面々も名前は変わっていないのだろう。流石に姿は自分やドラミ達同様猫型ロボットではないだろうが。
彼はそう考えている。

しかし、問題は種族の壁だ。ドラえもんは守護天使。守護天使は産まれたての子供一人に対し一人だけつき、大人になるまで災いに会わないように守護するのが役目。その姿は幼く純粋な子供にしか認識することはできない。
ドラミが幼いころ。記憶が残らないほど幼いころは、たまに話したり遊んだりしたこともあった。だが現在、ドラミは16歳。欲を知り、感情を抑え、心は大人に成長している。ドラえもんは、もうあの頃のようにドラミに認識してもらうこともできない。
同じ天界には仲間はいないことはわかっている。つまり、仲間がいるとしたら人間界か地獄。ドラえもんにとってはとても都合が悪い。人間は自分を認識することはできないし、地獄の者達と天界の者、すなわち天使は対立しているのだ。
「最悪の場合は堕天…いや、女性となんて、僕には無理…」
堕天し、堕天使となれば地獄の者と普通に接することができるし、認識されるかは微妙だがかなり人間との距離は気にしなくて済むようになる。が、天使が堕天するには、異性との関係が必要なのだ。まあ天使に性別なんてあってないようなものだが。

「堕天は辞めよう。はあ…地道に頑張るか。
…また集合したいけど、無理矢理はダメだよね。王ドラやドラミは記憶が無いし、他のみんなももしかしたら…」

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