浅夢

□甘いひととき
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テスト前の勉強漬けで疲れた私は
少しリフレッシュしようと七辻屋で
和菓子をいくつか買い、帰ろうとしたとき
白い狸のようなものが
全速力でこちらにやってくるのがみえた

あれはもしや………

「夏目〜!早くしろ、饅頭が売り切れる!」

やっぱり、ニャンコ先生だ

てか饅頭が売り切れるって…
どんだけ買うつもりなのだろうか

「待てよ先生!そんなに急ぐと転ぶぞ」
そんな夏目くんの忠告も虚しく
ニャンコ先生は盛大に転けてしまった

「うおっ!?」

「あら、先生大丈夫?」
大したことはないだろうが
一応怪我がないか確認をする

「むっ琴音か、私は転けてはいない!
スライディングしただけだ!」
大丈夫と聞いただけなんだけどな

そしてなんとイタい言い訳なんだろう
でも本音を言えば怒るので私は適当に流した

「もう危ないだろ…あ、慈翠じゃないか
どうしたんだ?こんなところで」

「勉強に飽きたから
甘いもの食べて休憩しようかなって
夏目くんは…先生に奢りに?」
私は少し冗談っぽくきいた
そうしたら夏目くんは

「あぁ、そんなところだ」
苦笑いしながら答えた

夏目くんと私は妖たちの噂で知り合った
妖が見える人は少ないから
お互い妖達の間では有名だった

そのおかげで仲良くなれたと思うと
ほんの少し妖達にありがたみをおぼえる

「さぁ夏目!はやく新作の饅頭を買うのだ!」
そうか、そうえば今日は新作饅頭を売ってて
私もそれを買ったんだった

「はいはい、わかってるよ先生」
新作が出る度に買わされるとは…
お小遣い大丈夫なのかな

しかし私の心配とは別のことで事件はおきた

「申し訳ございません、新作の抹茶苺饅頭は
先程品切れてしまいまして…」

「あ…そうなんですね
それじゃあ普通の4つ貰えますか?」

「はい、かしこまりました」

あ、もしかしてさっき私が買ったので最後か…

夏目くんはとりあえず普通の饅頭を買って
先生を説得しにいくみたいだ
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