Book-long-@
□濃霧
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ついに始まってしまったヴィランとの戦闘。ここがどこかはわからない。でも、消太さんとみんなが心配だった。後方で傍観していたヴィラン、あれがおそらく主犯。クラスのみんなが無事脱出して、他の先生を呼ぶことが出来ていればいいのだが。
そんなことを考えながらも、私は今の自分の状況に必死に向き合っていた。一人残らず倒す。そしてみんなのところへ一刻も早く行かなければ。
今まで積み重ねてきた鍛錬と経験は、今時の女子高生のレベルを遥かに超えていた。私は冷静に状況を見極め、ヴィランに立ち向かっていった。周りからは少しずつ立っているヴィランが居なくなっていく。
捕縛武器を使った消太さんと同じ戦闘スタイルで切り込んでいき肉弾戦に持ち込んでいった。ここにいるヴィランはチンピラ並みの強さであり、幸い人数が多いだけだった。
「おお!?どこだここ!?」
私の体力が少しずつ消耗しつつあった頃、背後から突然聞き覚えのある声がした。切島だ。
「あ!鏡見いた!大丈夫だったか?!」
彼はいつも心配してくれる。クラスメイトの安否を心配していた私だが、目の前に現れたことで多少の安心感を抱いていた。だが、その横にはおまけも付いてきている。
「後ろ!」
切島の背後にいたヴィランが不意打ちを狙って鉄の棒を振りかざしていた。慌てて声を上げる私だったが、それは無意味なものだった。
ボガンッ!!!
戦闘中とはいえ、その場に異様な爆発音が鳴った。
「うっせぇよパクリ野郎」
そう言って爆破を直接受け失神しているヴィランの胸ぐらを掴むと、死ねぇ!と言って他のヴィランへ投げすてた男。もちろん爆豪しかいないだろう。私は戦いながらも顔が思わず歪んでしまう。
「何だァ!?ここは」
私と同じように状況の把握が追いつかない切島は、ヴィランを目の前にしてもキョロキョロと周りを確認している。
「関係ねぇよ、こいつらヴィランだろ。ぶっ殺してやる」
ヒーローらしからぬ発言、もう何度聞いたことだろう。だが、今の私にはどこか心強く感じていた。
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