Book-long-@

□マスコミ
1ページ/1ページ



朝、6時半。雄英高校の校舎が見えてきた。今日は少し空が曇っている。晴天とは言えない天気だ。校門に近づくと、こんな朝早くだというのにゲートにたくさんの人が集まっていた。

「なんだ……?」

異様な空気を察知し、思わず木の陰に身を隠してしまう。たくさんの大人たち、カメラにライト。

記者だ。マスコミがなぜここへ?

何かを待っているかのように、数十人の人だかりは周りをキョロキョロと見渡している。私は近くにポツンと建てられた公衆電話へと入り込むとを、消太さんへ連絡をした。

「消太さん、いま校門にマスコミが集まっています」

『……ったく、そりゃオールマイトのこと嗅ぎ回ってるやつらだ。学校に直接来やがったか』

消太さんも、電話口で呆れかえっている。ただでさえメディアに出ることを嫌っている彼は以前、オールマイトとはウマが合わないと言っていた。だからきっと“まったく……”と思っているに違いない。

『俺も今から家を出る、俺が行くまで校門に近づくな。根掘り葉掘り聞かれるぞ』

そう言って一旦電話を切り、私は木の陰に隠れたまま消太さんを待つことにした。せっかく鍛錬のために早起きをしてきたというのに、とんだ災難に巻き込まれたものだ。




____________





少しすると、消太さんが駆けつけてくれた。ずっと見張っていたが、時間が早いこともありまだ一人も生徒は校門に近づいていない。

「あいつらに話は通じねぇからな、鏡子は俺が話してる間に横から通れ。じきに他の教師陣も来る」

そう言って消太さんはポケットに両手を突っ込んだままマスコミがごった返す校門へ歩いて行った。

「彼は今日非番です、授業の妨げになるんでお引き取りください」

シッシッと邪魔なものをあしらうかのように失礼な仕草をしているのが見える。本当にあんな対応して大丈夫なのかと不安にもなったが、記者が消太さんに質問攻めしている間に私は無事校門を突破した。

もう鍛錬場へ向かっている時間はない。みんなも登校を始める時間だ。幸い時間差で教師陣も駆けつけ、クラスメイトはみんなスムーズに校門を突破できたようだ。

だが、朝からマスコミに絡まれた爆豪は、いつも以上に不機嫌だった。

「あああああああぁぁ、イライラするぜえぇぇぇぇ」

そう言いながらドカッと椅子に腰掛けると、机の上に足を乗せる。すると、それを見逃すわけもなく、すかさず飯田くんが駆けつけた。

「机は足掛けじゃないぞ!今すぐやめよう!」

ブレない彼の正義感はどこか安心感を誘うが、爆豪の表情は鬼のようだった。

外は相変わらず騒がしい。だが、それを除けば今日もいつも通りの平和な朝だ。





_____
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ