『文豪ストレイドッグス』
□『第1話』
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『君は施設の出かい?』
いきなり隣の乱菊に話しかけられた敦は顔を赤くしてから答える。
「施設の出というか、追い出されたんです。」
『それは、薄情な施設もあったものだね…。』
その後、武装探偵社の話しをして、敦はこの人達が異能力者なのかと少し疑いの目を向ける。疑うというよりはにわかに信じられないという表現の方が正しいかもしれない。
そのとき、太宰がいきなり目を輝かせて例のごとくこう言うのだ。
「おぉ!あんな所にいい鴨居が!」
『そうやって、すぐ首吊りの算段をたてないの。』
乱菊が呆れて言うが、太宰はめげずに続ける。
「違うよー、首吊り健康法だよ!」
そんなものはあるはずもない、乱菊は無視するが、それに食い付く憐れな国木田。
「凄く肩こりに効くのに国木田くん知らないのー?ほら、メモメモ!」
太宰に言われた通りメモを取る国木田が本当に憐れだ。そして太宰、国木田がメモを書き終わるときに言う。
「嘘だけど。」
もちろん、国木田は怒る。理想と書かれた手帳の予定通りに事が全く進まなく、国木田の怒りは収まりを見せない。
「因みに今日の仕事とは?」
敦が聞いたことに国木田と太宰は何も反応を示さない。
『知りたいの?』
「いや、そんなっ、守秘義務とかありますよね。すみません。」
下からま覗きこむように聞いてきた乱菊に自分が何も考えないで発言していたことに気がついた敦は慌てて手を振るが、乱菊は気にしていないように口を開いた。
『今回の任務は別に隠すようなことでもないよ。まぁ、単なる虎探しだよ。』
ここで敦の空気ががらりと変わる。
椅子から転げ落ち、何かに怯えるようにこの場を後にしようとした敦を逃がすわけがない。国木田が襟を掴んで止める。
「待て小僧、貴様何か知っているな?」
「無理だ!!アイツに人が敵うはずない!!」
敦は叫ぶ。…やっぱり、人食い虎の事を知っているようだ。乱菊はうっすら妖しい笑みを浮かべた。
『独歩。』
乱菊の一言に国木田は尋問を開始した。少しずつ話していく敦。
孤児院は虎に荒らされ、生計の立て直しが出来ずに追い出され、今でも自分が虎に追われ、狙われているらしい。
乱菊の頭の中で1つずつピースが嵌まっていく。