『文豪ストレイドッグス』
□『第1話』
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『何で私は独歩と二人であの阿呆を探さないといけないのかな?私いる必要ある?』
ピンヒールをカツカツと鳴らしながら、少し不機嫌な麗人と、その隣を歩くこれまた不機嫌な男。
「まぁ、そんな事言わないでください、乱菊さん。全てはあの馬鹿が招いたことですから💢」
川沿いを歩いているのは、いかにも探し人がいそうだったからだ。彼ならこの川で入水自殺でもしているのでないかと思っての行動。
『…独歩、あれを見てごらん。』
国木田が乱菊の指を指した方に目を向けると、川の反対側に2人の人。
国木田は走る。そして、声を張り上げてこう言うのだ。
「こんなとこにおったか、この唐変木!!」
それに対応する川の向こうにいる太宰。
「国木田くーん、ご苦労様ー!」
「何がご苦労様だ!全てお前のせいだ、この自殺マニア!お前はどれだけ俺の計画を無駄にすれば気がすむのだ!!」
川を挟んで国木田の説教が始まるが、太宰にそれを気にする様子はなく、一緒にいた少年に提案する。
「いい事を思いついた。彼に奢ってもらえばいい。」
「人の話を聞け💢」
何故か少年と太宰の話しは進み、空腹の少年に茶漬けをたっぷり奢ることになったようだ。もちろん、奢るのは国木田という事で話しは進んでいた。
「国木田くーん!早く此方に渡って来なよー!」
この川を泳いで来いと言っているのか、あの阿呆は…。話しに入らず、物陰から見ていた乱菊は国木田の隣まで移動した。
『私にこの川を渡れって言うの?君達が此方に来てよ。』
乱菊の登場に口元を引きつらせる太宰と、勝ち誇った顔をする国木田。
乱菊の発言は絶対だ、これは探偵社の暗黙のルール。
「…仕方がない。敦くん、向こうに行くよ。」
*****
横浜にあるとある食堂。太宰の前、敦の隣に座る乱菊。
相変わらず太宰と国木田は口論が止まらない。そして、隣の敦は何杯目かわからない茶漬けを口に掻き込んでいる。そして、それを横から眺める乱菊。
「本当に助かりました。孤児院を出て横浜に来てから食べるものも寝るところもなく、あわや餓死するところでした。」