旅人の休息2

□写し残すもの
1ページ/1ページ

縁側に出てみると陸奥守が一人、外を見ていた
ただ見ているのではなく、何かを手に持っている
よく見ればそれは、写真機だ
確か、坂本龍馬の持ち物だった気がする
そこで将と気付いた、彼の元の主は坂本龍馬だと
視線に気付いたのか、陸奥守はこちらを振り向いた

陸「おぉ、主じゃないがか!そんなとこで何しちょったんじゃ?」
咲夜「いや、陸奥守の姿があったから、何をしてるのかなって。」
陸「ワシか?ほんじゃ、ちくと話するきに聞いとぉせ。」
咲夜「うん、聞かせて?」
それから、陸奥守は楽しそうに写真機の話をしだした
これは龍馬が〜
あぁやって使って〜
そんな風に話していて、ふと気付くと陸奥守はこちらをじっと見ていた

咲夜「?どうしたの、陸奥守?」
陸「いや〜、話すより実際に撮った方がええと思うんじゃが。どうかの?」
咲夜「えっ、良いの?」
陸「勿論じゃ!一緒に撮るぜよ!」
そういうと楽しそうにはしゃいでいた彼だが、突然黙り込んでしまった
不思議に思っていると、しまったという顔をして
陸「撮る奴がおらんちや。」
と呟いた
そんな姿が可愛くて、つい笑っていると一瞬明るくなった気がして…
前を見ると、笑顔でこちらに写真機を構えた陸奥守の姿があった

麗かな午後、ほんの一時のこと
残されたのは私と陸奥守の笑い声、そして笑顔を写し取った写真機だけ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ