旅人の休息

□妖だからこそ
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桜が舞い散る美しき夜
満月の中佇むその男は
こちらを見つめ小太刀を掲げた

薬「…モノノ怪か。」
咲夜「だとしたらどうすると言うのだ?」
薬「…俺の役目は、モノノ怪を切ること、です。」
咲夜「ほぅ、ならばそれで我を切ると言うのか。ククッ、面白い。」
薬「…。」
咲夜「そんなもので殺せると言うのなら、殺してみよ。…どんなことでも死ねなかった我を殺せ。」
薬「!…貴女は死にたいのか。」
咲夜「…我は長く生きた。長く生きすぎたのだ。もう見たくない。愛する者の死を。」
薬「人を、愛したのですか。」
咲夜「、さぁ、どうだったかな。」
我を見るそいつの顔はどこか寂しげに見えた
薬「…もう一度、もう一度だけでも、生きてみてはくれませんか。」
咲夜「…どういう意味だ?お前の意思を汲み取れぬのだが。」
薬「俺と、共に生きてほしいのです。」
咲夜「どのような風の吹き回しか。モノノ怪は切るのではなかったか?」
薬「貴女は、俺によく似ている。貴女と共にいれば、何か変わるかもしれないと、思いまして。」
どんな言葉よりも力のあるその言の葉は
咲夜「…あぁ、共に行こうではないか。」
我に呪いをかけた

あぁ、我は人を愛してしまう
我らを産み出す人を…
また、愛してしまった
 

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