SHORT

□昼寝の行方
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日当たりのいい甲板で
ゴロンと寝そべる
爽やかな風が頬を撫でて
とても気持ちがいい
いつもならそのまま
なんの問題も無く
気持ち良く眠りに落ちていけるのに
今日はやっぱりなかなか落ちれない
そんなあたしの横に
「昼寝日和だよい」
と呟きながら
マルコが腰を下ろすと
あたしと同じように
ゴロンと体を投げ出した
しばらく二人無言のまま
マルコは寝てしまったのかもしれない
あたしはマルコの方へ
体の向きを変え
両手を合わせて
自分の顔の下へ差し込んだ
黙って
眠るマルコの横顔を眺める
ほんの数分の後
マルコが片目を開け
目だけでこちらを見る
「なんだよい」
「寝てたんじゃなかったんだ」
「お前の不躾な視線に起こされたよい」
「…」
そんなマルコの言葉を
特に気にすることもなく
「ねぇ…」
あたしはマルコの横顔に
呟いた
「んー?」
「男ってさ、一回二人で一緒に出掛けたら すぐ相手のこと好きになるんだね。」
「…」
マルコは無表情で顔をこちらに倒した
「あ?」
「違うの?」
「まぁ そういう奴もいるだろうが…俺には分からねぇない。」
「ふーん。」
納得いかず
不服な返事をする
「不満かよい。」
「不満ていうか…」
「じゃぁ 教えてやるよい。」
マルコは体ごとこちらに向け
肘を立てて
頭を支えた
「そういう奴は大概その先を期待して相手に気を持たせてるだけだよい。」
「じゃ、こっちに興味あるふりしてるだけって事?」
「ふりというか、その先に興味があるんだよい。」
「みんな?」
「ほとんど」
あたしは仰向けになって
雲の流れる空を見る
そうなのか
好きになったわけではないのか
「ただ女友達みたいに会って騒いで楽しけりゃぁいいって風にはいかないってことか」
マルコは体勢を変えずに
こっちを見ている
「じゃあさ」
あたしは顔を倒してマルコを見る
「マルコならどう?あたしと一緒に出かけたらその先を期待して気を持たせる?」
マルコはあからさまに呆れた顔をした
「ねぇな」
一言言うと今度はマルコが空を仰ぐ
両手を頭の下で組んで
右足を立てて
左足をその膝に引っ掛けた
「そもそもお前とのその先に興味がねぇ」
あたしだって
あからさまに顔に出してやる
ふくれっ面をしたあたしを横目で見て
「だからって別に一緒に出かけるのが嫌なわけじゃねーよい。」
「…」
口から
頬を膨らましていた
息が抜けていく

マルコは優しい
あたしが想いを寄せているのに
きっと気付いている

昼寝なんてどこでもできるのに
わざわざ
あたしの隣に来るなんて
それだけで
十分に思わせぶりなんだから

「眠くなってきた」
あたしはマルコに背を向けた
あたしだって
そうそう簡単に
食い付くわけじゃない

マルコが笑うのを
背中で感じ
あたしはギュッと目を瞑った



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