SHORT

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「ねぇマルコ。あたしが死んだら泣いてくれる?」
紅は膝の上の
黄色い髪を
細い指に絡める
「なんだよい。突然。」
マルコは目を閉じたまま
静かに聞いた
「死んだら灰にして船から海に撒いて。」
「…やだよい。」
紅は目を閉じたマルコの顔を
優しく見つめた
「ちょっとだけ泣いたら、その後は誰か別な人を愛してあげてね」
マルコは目を閉じたまま
紅の腰に手を回した
そのまま
紅のお腹に
自分の顔を埋める
「それもやだよい。」
紅はマルコの頭を
優しく撫でる
「マルコ愛してる。」
マルコはまるで子供のように
ギュウギュウと
自分の顔を押し付ける
「もしも…よ?」
「そんなこと言われたら不安になるだろい」
マルコの低い声が
紅の体に直に響いた
「ごめんなさい。」
紅は微笑んで
体を折り曲げ
マルコの頭を包み込むように
両腕で抱き締める

「紅」
「ん?」

「紅」
「ん?」

「愛してるよい。」
「ええ。」



爽やかな青空の下
ゆっくりと前進する船の甲板に
二人を撫でるように
優しい風が吹いた

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