SHORT

□貴重なチョコレート
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朝目を覚ますとベッド脇のサイドテーブルに
覚えのないモノがある
「ん?」
冬島圏内でだいぶ冷える朝
あたしは手だけを伸ばしてそれをつかむと素早く頭から布団をかぶり確認する。
銀色のアルミ紙に包まれて
その上から茶色の紙が巻かれている

寒さも忘れてガバッと起き上がると
それを握りしめて裸足のまま甲板へ走り出す。
「マルコ!!」
黄色いパイナップル頭を見つけて大声で呼ぶとゆっくりとこちらを振り向く。
あたしは勢いのままマルコに抱きついた。
その勢いにびくともせずにあたしを抱き止めるマルコ。
「なんだよい。そんな格好じゃ風邪引くだろい。」
そういうと自分のミリタリーコートの前を開けあたしを包み込んでくれる。
「これ!チョコレート!マルコでしょ?!」
「あぁ、土産だよい」
あたしはすぐさま包みを破りパキッと板チョコを割る
「食べる?」
「俺はいいよい」
あたしは欠片を自分の口に放り込むとそのままマルコにキスをする。
二人の口のなかでゆっくり蕩けるチョコレートと混ざり合う唾液。
「甘過ぎるよい」
唇を離してマルコはニヤリと笑った。
ふとあたしの足元を見て
「お前裸足かよい、凍傷になるぞ」
と抱き上げてくれる
「あっためて?」
かわいくおねだりできただろうか…
マルコはあたしを抱いたまま部屋に向かって歩き出す。
「俺も寒いのは苦手だよい。」
意味ありげに唇の端をあげた。

チョコレートよりも甘い時間の予感

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