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□子猫調教計画
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「っはぁ…はぁ…っあ……」
身体を支配する途方もない熱を感じながら、今日も俺はベッドで悶える。
俺、松野カラ松、2×歳は只今絶賛監禁中だ。
監禁している方だと思うだろ?
実は監禁されている方なんだ。
それも、俺を監禁しているのも同じ男と来たものだ。
全く、世の中は一体どうしてしまったのだろうか。
俺と、俺を監禁している男・一松との出会いは二ヶ月ほど前。
馬車馬の如く、激務に終われ睡眠不足と体調不良でいつ倒れるかチキンレースのような日々を送っていたとき。
海外の取引先のお偉いさんとの接待に駆り出され、俺は奴と出会った。
接待の盛り上げ役としてバカみたいにたらふく酒を飲まされた俺。
目が覚め、気付いたときにはここにいた。
記憶を失う前に着ていたはずの服は脱がされ、真新しいワイシャツと下着だけを身に纏いベッドに横になっていた。
窓もない。
テレビもない。
どんなに大きな声を出しても、外に届いている気がしないこの部屋は外界のすべてから遮断されているように感じる。
事実、遮断されていた。
部屋には大きなベッドにテーブル・椅子・モニター、あとトイレやシャワールームまで完備されている。
俺自身も鎖で繋がれているわけでもないので、なかなか住み心地はよかった。
まあ、唯一外へ通じる扉は当たり前に開かないわけだが。
1日目、アイツが部屋に来て俺に言ったことは
「今日からお前は俺のものだ
お前がそれを自覚したら、ここから出してやる」
と。
んんんんん?????
ホワッツ??
元来頭が良い方ではない俺。
だからこの目の前の男が言っている意味がわからないのだろうか。
いかにも高そうなスーツを身に付け、育ちの良さそうな雰囲気の男をしばらく呆然と見ていると。
苛立たしげに舌打ちされ、妙な薬を口に放り込まれ、ケツを掘られた。
理解し抵抗しようとしたときにはすべてが遅かった。
振り上げた拳は悲しくなるほど簡単に押さえつけられ、まるで女を抱くかのように俺の身体を愛撫し挿入してきた一松。
それから毎日食事に少量の薬を盛られ、その度に疼く身体をあの男は抱きに来た。
ある日は、苦しくなるほど中出しをされ。
ある日は、卑猥な玩具で身体中を弄ばれ。
一番酷かったときは三日間記憶を飛ばしたとき。
なんと言ったかわすれてしまったが…
俺の放った言葉が一松の逆鱗に触れ、妙な液体を飲まされたあとから記憶が朧気だ。
微かに覚えているのは、猛烈な疼きと渇きに襲われたことと気が狂いそうなほどの快楽。
そして次に目が覚めたとき感じたのは、凄まじい喉の痛みと下半身の麻痺だった。
記憶にはほとんど残っていないけれど、何があったかなんてわかる。
それでも俺は、希望を捨てなかった。
例えどんなに身体を辱しめられたって、絶対にあんな奴に俺のすべてをあげたりしない。
これは意地だ。
孤児の俺が、今まで一人でやってきたというなけなしの男としてのプライド。
だから、こんな形で男を否定し踏みにじってくるあいつが許せなかった。
「…っ…あ…ぁぁ…はあ…、ン…」
負けたくない。
あんな奴の手に堕ちてたまるか。
絶対この部屋から出ていくんだ。
そう自分に言い聞かせ、ガクガクと震える身体を抱き、奥歯を噛み締める。
「ただいま、ガッティーナ
良い子にしてたか?」
「………っ…………」
すると、ガシャンと重厚な音を立て扉が開いた。
入ってきたのはもちろんあの男。
俺をガッティーナと呼び、まるで犬か猫を愛でるかのように声をかけてきた。
返事をしない俺を気にする風でもなく、ベッドまでくると我が物顔で頭や頬に触れてくる。