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その日、少女は旅に出る
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ある日突然不安に思うことがある。今意識のあるこの世界が、実は偽物なのではないかと。例えるなら夢から覚めたときのぼんやりした感覚に似ている。だけどすぐに意識は現実へと戻っていく。今日ほど夢を恋しく思ったことはないだろう。始まりと終わりが繋がったこの日ほど。今ではない時、ここではない世界。俺は多くの友を失った。 望んだ夢を見ることができないのと同じように、望んでもいない現実に直面することがある。それがまさに今なんだろう。これが現実とは思いたくないほど夢心地な気分だった。だけどこれは夢なんかじゃない。今日今までの現実は終わり、新しい現実が始まった。まるで迷路に迷い込んだようにこの先何があるかはわからない。今ではない時、ここではない世界。俺は望んだ夢を見ようとあがく。



その日、少女は旅に出る

(なぁラン、ここどこだ?)(わからないわ)(異世界ってやつか?)(たぶんそうでしょうね)(もっと驚けよ…)(あなたもね、シン)


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