長編

□precious days 1
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ゆーびきーりげーんまーんうーそつーいたーらはーりせーんぼんのーます!
ゆーびきった!!


幼い頃に交わした約束。
桜の花びらが舞い散る公園の、誰にも見つからない場所で、二人だけの秘密。


そんなものを未だに信じてるって言ったら、君は笑うだろうか?






「髪型よし、ネクタイよし、スカート丈…まあまあね。」


春。
それは一年で最も特別な気持ちになれる季節。
桜の花も見頃を過ぎて数日。
待ちに待った高校の入学式。

私は今日、憧れ続けた立海大附属高校に入学する。



第1話
編入生なので、お手柔らかに





「うっわー!やっぱり広いなー!」


その広大な敷地に私は思わず声を漏らした。
中学で一人暮らしなんてまだ早い、と反対され、憧れ続けた立海大附属の文字。
やっとここに通う事が出来ると思うと、これからの日々が楽しみで、希望に満ち溢れていた。

溢れているはず、だったのに…


とんだ誤算。
そりゃそうだ。
何せ立海は中学からのエスカレーター。
高校に入ったからって、友達と離れる訳でもないし、なんなら中学でできたグループがそのまま継続するのは当たり前じゃない!
初めましてから始まる素敵高校ライフを夢見た私がバカだった!!

クラスは既に出来上がったグループで楽しく会話を交わすクラスメイト達で賑わっていて、入る隙なんて微塵もない。
私は自分の席で小さくなってるしか無かった。


「なぁ、アンタ編入生?」


一人机に向かっている私の頭上からその言葉が聞こえるまでは。


「俺、切原赤也。アンタは?」


目の前の席に座った彼は、人懐っこい笑顔を見せた。


「わ、私、葉月那奈!」

「ふーん。葉月ね。アンタ、しばらく俺と一緒に居ろよ。」


友達いっぱい出来るから。と、切原君は私の頭をポンと撫でた。


「あー、切原が女の子口説いてるー。」

「え?見た事ない子だね、編入生?」

「おー。葉月那奈だって。」


魔法みたいだった。
切原君が声をかけてくれただけなのに、私の周りにクラスメイトが集まり始める。


「葉月那奈です!よろしくお願いします!」


思いがけない出来事に、声が大きくなる。
あまりにも大きな声に唖然としたクラスメイト。


「プッ…はは!葉月声デカすぎ!」


その間を埋めるように切原君が笑うと、
「もー!ビックリしちゃったじゃんー」なんて、みんなが笑った。

すごい。

すごいよ切原赤也!


「な?」


みんなが笑う中、切原君が囁いた。
切原君と居れば、これから楽しく過ごせる気がした。



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