長編
□僕らの失敗作10
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「お疲れッス!!」
部活は、すっかり辺りが暗くなった頃にやっと終わった。
俺は急いで帰り支度を済ませ、部室を出ようとノブに手を掛ける。
「おい、切原!!」
ジャッカル先輩が慌てて呼び止める。
そう言えば、帰りにショップに寄る約束してたっけ?
「すんませんッ、約束はまたこん………ど……………。」
戸を開けると、白いパーカーの上着を来た那奈先輩がいた。
「何やってんスか!?」
授業中に倒れて、大したことないにせよ、大事をとって早退させられた那奈先輩。
当然今時分、こんなところでつっ立ってて良いはずがなく、俺は慌てて駆け寄る。
「…………」
一方、先輩は俺を見上げ、物言いたげに口を開く。が、思い止まってやめる。
「取り敢えず送りますから………」
俺が腕を引っ張ると、先輩は抵抗した。
振り返ると、気まずそうな顔でうつ向き、また見つめる。
「……赤也君………」
伝わってくる震えに、体調が悪いのかと思い、抱き締めようとすると、先輩は俺の胸を押し返す。
「……別れて下さい。」
瞬間、俺の表情は凍り付いた。
「は?何言ってんスか?」
「私、……赤也君に酷いことしてる…………」
声も腕も震え、精一杯なのが直で伝わってくる。
「………………」
俺は何も答えられないで、悔しさが溢れた。
再び腕を掴み引っ張ると、今度は抵抗もなく歩いた。
第十話
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