SAKURA TRIP
□0話
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明香side▷▷
明香『……っ痛たたた』
物凄い衝撃から一転。
視界がいきなり暗くなり、気づいたら私はこのよくわからない川のほとりに立たされていた。
それもご丁寧なことに自転車も一緒に。
(これほんともう、どういうことよ。
………なぜこうなった!?)
思い返して見ればきっかけと思われることが一つばかり思い浮かぶが、こんな訳のわからない所にぶっ飛ぶことだけはどうしても考えられない。
読めない現状に私は目を覚ます前のことを思い返してみることにした。
まず、いつものように遅刻しかけてチャリをぶっ飛ばした。
ここまではいい。
いつものことだから。
問題はそこからだ。
あの心臓破りの坂を死にものぐるいで漕いで上がって下る最中だ。
ブレーキをかけず、風を感じながら下り坂を降りていた。
坂を降りたすぐ先には学校の駐輪場がある。
真面目なことに、その駐輪場にいつも予鈴が鳴ってから入るのは、私と花音ぐらいしかいない。
だから、私と花音はいつもスピードを緩めずその勢いで駐輪場に入り急ブレーキで自転車を止めるのだ。
でもその日は違った。
今まで鉢合わせすることのなかった花音が、私と同じタイミングで別方向の坂から降りてきていたのだ。
『ちょっ………花音!?』
『え!?…明香!?…うわぁぁっ……』
花音が視界に入ったのは、互いの自転車の前輪が接触するであろう1秒前ほどのことだった。
慌てて急ハンドルを切ったがもうそれは手遅れで…
そのまま地面に吸い込まれるように転倒した。
そこで私の記憶はプツリと途絶えている。
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