藍夜の涙

□2話 出逢い
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妖が見えてしまうのは、多分この左目が原因なんだと思う。




私の左目には妖が居る




生まれつき妖が宿っていた訳ではない




好きで妖を飼っている訳でもない




その理由は…






「キ…キキっ…」






声が聞こえて足を止める。




あぁ…本当に今日はツイていない…




いつもはこんな帰り道




足も止めずに帰るのに…




目の前には



大きな一つ目の妖





『………………っ‼』





全速力で駆け出した



走って



走って




それでも妖は追いかけて来た



妖のストーカーとか…笑えないっ…‼




『はぁ……はぁ………っ』




必死に走るが、段々と失速してくる



自分の持久力のなさに、今更ながら恨みたくなった。




あぁ…もう無理だ…




諦めたその瞬間






「斬っ‼」





…………え?




声がして振り返る



妖は跡形もなく消えていた。




息を切らしながら、状況を把握する。




心底、助かったと思った。




………が、



よく見ると男の人がいた。



しかも刀を持ってる。




………あれ?………もしかしてヤバい?





「お前、…………何者だ?」




澄んだ青い瞳に射ぬかれる




息が詰まった





『……………私…は、……』





夜トーーーーーー‼




遠くから誰かの呼ぶ声が聞こえた。




男の人がそちらを振り向く




その瞬間に…






………駆け出した。

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