紅舞ウ地
□小さな期待
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返事の無いエースに期待して振り向いた自分は甘かった。その光景には十人が十人驚くだろう。はーっとまた呆気にとられた。
肉を片手に、顔は自分へ向けたままボスりと袋へ埋まり、どういうわけかグゴーっとイビキをかいてエースは眠っていた。つい数秒前まで意気揚々と話していたのにだ。よほど疲れていたのか、一種の体質なのか全く不明だが。
忙しい人だ……。
そう思いながらもアリアの口元は緩んでいた。
新世界の広い海の上、星空の下で、まだ仲間とも言えない自分たちは確かな約束を立てた。
それは先の見えない遠い約束。この時はまだ、互いにこれからの長い我慢比べが始まるなんてまだ知る由もなく。
約束したからね……。
絶対、その答え聞かせてよ。
絶対に……。
"知りたい"
それは、小さな期待と僅かな興味から始まった物語……。