紅舞ウ地

□始まりは唐突に
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『七武海の勧誘を蹴った?何年目だァ?』



それは二年前に遡る──。


「──炎上網!!」

それはキャビンの入口付近で食料の積込み作業を手伝っていた時のことだった。その声は、ここからドア一枚の隔てしかない甲板の方から聞こえてきた。モビーディック号の広い船内に響き渡った男の声に、アリアは驚いて作業の手を止めた。

「なに今の、聞こえた?」

「ん……?いつものことじゃねェか。気にすんな。」

騒がしいのは今に限ったことではない。

「それはそうだけど……。なんか、急に熱くない?」

「そりゃこんだけ働いてりゃ体温も上がるさ。なにせ男ばかりの船だからなァ。」

はははとクルーたちは笑い飛ばす。クルーたちが黙々と作業をこなす中、まだあどけなさの残る少女のその瞳は不安の色を浮かべた。

「………………。」

指示されたクルー以外は甲板へ出てくるなと、マルコからの命令があった。敵船の襲撃ともあれば、戦闘に乏しいクルーたちが船に残ることは日常茶万事で、アリアもまたそれに数えられた内のひとり。しかし今回ばかりは妙な胸騒ぎがした。
たまらず向きを変えるアリアにクルーの声がかかった。

「おいおい!外へ行くなって言われてるだろ?」

「でもなんか、変な感じがして。……ごめん、見てないってことにして!」

「そんな無茶苦茶な……って、おいアリア!」

顔の前で手を合わせ、「お願いね」と器用にウインクしてみせると、アリアは振り返りもせずに甲板へと走り去っていった。

何故か、どうしようもなく無性に気になったのだ。
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