波紋の刻

□藤の花
1ページ/4ページ


鬼殺隊隊士、階級"庚"。

特段飛び出た才能があるわけでもなく今まで生き延びて来れたのは"運"、それと言うのがしっくりくる。

先刻も炎柱である煉獄杏寿郎様が任務先で上弦の鬼と遭遇、死闘の末亡くなられたばかりだ……。

柱の訃報は隊員たちにも大きな衝撃を与えた。少なくとも自分が入隊して以降、今の柱の面々になってから長く柱が欠けたことはなかった。それ程今いる柱たちは強者揃いであるはずだ。それが……。

思うのだ。あらゆる戦地で他の隊士や柱までもが戦死する中なぜ自分は生き残れているのかと。いつしか鬼の討伐が目的の鬼殺隊で生き残ることが念頭となっていた。出世や金のためではない。



幾千もの藤の花の下……

鬼狩りになることを決めた。

ただ一つ、胸に抱いた想いだけの為に。

私はただそれだけの為に鬼を狩る。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ