マイフレンド A
□C
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「えぇ?!有希ちゃんの娘の新一ちゃんがうちの息子に惚れているの?」
翌日、トランプ王国の国王と女王がマロン王国の王室に現れた。
勿論、王室に着くまで2人を見たものは居ないだろう。
トランプ王国の女王、千影は幼馴染の有希子に新一姫が千影の息子に惚れている見たいだと言われて驚いていた。
顔には出さないが、トランプ王国の国王、盗一も千影同様驚いていた。
「まぁ新一は俺達に何も話さないからわからないが、ここからは憶測だが新一は多分慶斗君に惚れているのでは無いのかと思うんだがね」
「優作の言う通りだと思うわよ。だって、この前新一の部屋に入った時慶斗君の写真があったもの」
「家の息子の写真がね・・・。快斗ならまだしも慶斗が女性と一緒に写真を撮ったと聞いたのは初めてだね」
「そうね。女性と一緒にいる所はよく見ているけど、快斗みたいに写真撮ったりはしないわね。
慶斗はちょっと難しい性格をしているから」
有希子達は顎に手を当てながら皆で悩んで居た。
〜トランプ王国〜 慶斗side
「慶斗様、今日も大変かっこいいですわ」
「当たり前でしょ?」
「きゃぁー、慶斗様がこちらを向いてくれたわ」
私は取り敢えず笑顔を作って、礼を言う。
通り過ぎるだけで、香水の匂いがするから臭くてたまらない。
女性達が見えなくなった後、ポケットから私が小さい頃に撮った私の想い人が映っている写真を出す。
マロン王国の姫君、新一姫。
もう八年間も会っていないが、新一姫を好きな気持ちは変わらず。
そればかりか、新一姫への気持ちが募っていくばかり。
「はぁ・・・」
自然にため息が出てくる始末。
こんな姿、絶対に家族には見せない。特に愚弟にはね。
だが人間の思いはそう簡単に叶うものでは無いらしい。
「慶斗兄さん、さっき寺井ちゃんが呼んでたぜ」
「ええ、今行きます」
取り敢えず、溜息は聞かれて無かったらしい。それに安心し、快斗に返事を返すと胸ポケットに写真を仕舞い込み寺井の元へ向かう。
「寺井、この国とマロン王国は本当に対立しているんですか?」
「えぇっ?
私は良く知りませんが、今は対立していないと聞いていますよ。
慶斗坊っちゃまが産まれる前ですから、知らないと思いますが」
寺井の言った言葉に心底驚いた。
トランプ王国とマロン王国が対立していないとはどう言う事だ。
なんで今まで父さん達は・・・。
私は王室にノックもせずに入り、父さん達に問い掛ける。
「トランプ王国とマロンが対立しているって本当なんですか?!」
「おや、早速バレてしまったか」
「さすがね、慶斗。でも誰に聞いたの?」
両親共々、笑いながら応えて来るが、長年敵対していると勘違いしていた私にはそれすらもムカついて来て口調も戻ってしまい・・・。
「ふざけんなよ!長年勘違いしてた俺の立場になって見やがれっ、クソ野郎。敵対してるって勘違いしてたから八年間も新一と会えなかったんだぞ」
両親に高ぶった気持ちのまま声を荒らげて言った。
そんな私に表情を変えないまま、答える両親達。
「聞いてこなかったお前が悪いぞ、慶斗。誰も敵対しているとは言っていない」
「そうよね!」
「んなもん聞けるわけねーだろうが!」
「まぁお前が今日乗り込んで来なくても、今日の内に教えるつもりだったからね。寺井、快斗も此処に」
「はい」