マイフレンド A
□B
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俺が見た夢は、なんとも不思議なことにキッドが話していた夢と殆ど同じだった。
「新一姫、できれば僕と結婚を」
「いえ、僕と」
「いや俺と!」
毎日城の前に花束を手に持った男達が、求婚をしてきて少々ウザイなぁ。
私はちょっと困った顔をして、ベットに転ぶ。
横を向いて寝転ぶと、目前にある写真立てが目に入る。
「慶斗様・・・」
そこにはトランプ王国の第一王子、黒羽慶斗さまと小さな頃の私の写真。
私は慶斗様をお慕いしているのだが、トランプ王国と私が居るマロン王国は敵対している。
だから会おうとしても会えないのだ。
慶斗様と最後にお会いしたのは五年前。国境のお花畑で、別れの挨拶をした後から、お花畑へ行っても1度も会えない。
考えながらベットの上で寝転んでいると、ドアがノックされた。
「お姉ちゃん、ちょっと入ってもいいかな?」
「どうぞ」
どうやら、ドアをノックしたのは妹の新だったみたい
私が返事を返すと、新が部屋に入ってくる。
言い忘れていたけれど、妹の新もモテていてお見合いの話も何度も来ているのだ。
その相談相手になってるから、新がこの部屋に入ってくるのは珍しくはない。
「どうしたの?新」
「どうしよう、お姉ちゃん。トランプ王国のご子息を好きになっちゃった」
「えっ・・・」
「お姉ちゃんが言っていた、慶斗さまの方ではなくて、その弟の快斗様に」
「そうだったの?」
ちょっと良かったと思ってしまった。だって、慶斗様に新が惚れちゃって恋のライバルになってしまったら、私は絶対に身を引いちゃうと思うから。
「でもどうしよう、快斗様はトランプ王国の人だし・・・」
「そうね・・・。私もどうしたらいいんだろう。
毎日毎日求婚してくる男性に答えられるわけでもないしね」
「うん・・・」
その頃マロン王国の、国王と女王は娘のことについて考えていた。
「新一は毎日求婚されているのに、全部断っているようだね」
「えぇ、そうなのよ。新ちゃんったら、好きな人でも出来たのかしらね」
「でもまだ、結婚するのは早すぎるだろう。新一の事だ、自分の気持ちを抑えて好きな人とは違う男と結婚するかもしれないからな。この国の事を思って」
「そうね。もしかしたら新ちゃんの好きな人って、千影ちゃんの所の子供かもしれないわよ」
「あぁ、トランプ王国のだね。
まさか新一、まだ敵対しているとでも思っているのかね」
「そう思っているのかも知れないわよ。敵対していたのは新一が生まれる前までだったんだから、敵対していると思っていても可笑しくは無いわよね」
「盗一達にも相談してみるとしようか」
「そうね!」
〜あとがき〜
少し、慶斗さんが話していた過去とは違います。
勿論、慶斗さんと快斗君、新ちゃんと新一君は別々に存在しています。
そして、トランプ王国とマロン王国は現在敵対していません。慶斗さんが生まれる前からなので、勿論慶斗さんも敵対していない事は知りません。
前世の慶斗さんと新一くんの間には可愛い女の子が産まれます。
名前は・・・。
読んで下さりありがとうございました。まだまだ続きますのでご了承ください。