マイフレンド A
□A
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「新一さんは何があったんですか?」
キッドが俺を抱きしめながら聞いてくる。
俺はキッドの胸に頭を預けて、問いかけられた事に答える。
「俺さ、小さい頃から双子の兄ちゃんの快斗の事が好きだったんだよ。今までな。
小さい頃はいつも一緒にいてくれて、いじめられた時は庇ってくれて、
優しいお兄ちゃんって感じだったんだ」
「それで?」
「でも中学の時、ある事件があってな」
「ある、事件?」
「あぁ」
キッドの背中に腕を回して、その時の事件を思い出しながら喋る。
「中学一年の時、俺にストーカーができてな・・・。それで快斗がそのストーカー捕まえてくれてさ。
その子、快斗に惚れていたみたいで。俺が羨ましいって。
それで俺、快斗が好きだって分かったんだよ。その女の子と同じく、快斗に好きだって普通に言える女の子が羨ましいって・・・」
最後の方、俺は泣いてキッドのシャツを掴みながら言ったけど。
キッドは優しく背中を撫でてくれた。
「そうでしたか。
それは辛かったですね、新一さん。私はあなたが好きなので、貴方に泣かれると胸が痛みます。
私はいつでも貴方の見方であり、貴方を愛している人間のひとりですよ」
優しく言ってくれた一言に、俺は泣きながら、有難うと言う。
「新一さん、もう寝ましょうか。
私は君が寝るまで側にいて、物語の話でもしてあげましょう」
「うん、ありがとなキッド。話を聞いてくれて」
「いえ、こちらこそすみません。辛い事を思い出させてしまって」
「ううん、良いよ。泣いたせいで気分よくなったし」
俺は、ベットに寝転びながら、キッドに返事を返す。
キッドは微笑みながら、ベットの端に腰を掛けて布団を掛けてくれる。
「では物語を話しましょうか。
むかし、むかしあるところに、新一姫と言う綺麗なお姫様が住んで居ました。その新一姫を嫁に迎えるためにあらゆる国の王子が求婚しましたが、新一姫はどこの王子の求婚にも答えませんでした。
新一姫の母君も父君もどうしたものかと思い、母君が新一姫に聞いてみました」
「っておいおいっ!何で俺が女になってるんだよ!」
「まぁまぁ、取り敢えず聞いてください」
キッドは俺に言うと、また物語を話始める。