マイフレンド A

□デート
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俺の名前は工藤新一。
高校生で探偵をやっているから、(あっ、あの工藤か)と知っている人も居るだろう。

んー、それは良いんだけど。
明日俺は恋人とデートなんだ!
恋人の名前は黒羽快斗。ここだけの話、この恋人は裏の顔がある。それは、怪盗キッドだ。
話を戻すぞー。
それで、明日その快斗とデートなんだけど、何来ていけば良いのかがちっとも分からない。
快斗の奴は、

「普通の格好でいいって」

何て言ってたけど。快斗だったら絶対恰好良く服を着こなしてると思うし。


・・・何て言ってると、デートに行く服に迷ってもう2時間。終いには、デパートまで行って探してみたんだけど、なかなかこれだ、って言うのが見つからない。
そんなこんなで、ベンチに座って項垂れていると・・・。

「あれ?新一?」

自分の名前を呼ばれて、顔を上げるとそこには蘭が。

「どうしたの?新一。こんな所で」

「明日デートなんだけど、どんな服で行こうかって迷ってな・・・」

「デートって、黒羽君と?」

蘭の問い掛けに頷く。

「だったら、普通に普段着でいいんじゃない?新一だったら何着ても似合うし、大丈夫よ」

「でも、せっかくのデートだし」

「・・・・分かった!じゃぁ私が選んであげる。新一に似合いそうな服を、ね!」

・・・それから蘭が俺に合う服を選んでくれて、やっと明日来ていく服が決まった。

快斗、喜んでくれるかな?



翌日、トロピカルランドで待ち合わせをした。
快斗が入口前にあるレンガの壁にもたれ掛かりながら、腕時計を何度も確認してる。

(あぁーもう、恰好いい!快斗)

俺は、電柱の影に隠れながら快斗の姿を確認していた。
もう行った方がいいかなぁ、と思っているとレンガの壁にもたれ掛かっていた筈の快斗の姿が見つからない。

(あれ?どこいったんだ、快斗・・・)

辺りをキョロキョロしていると、突然目を塞がれ、

「こんな所で何をしてるのかなぁ?新一〜?」

後ろから快斗の声が聞こえた。

「ごめん、快斗。だって、快斗を見てたら恰好いいって思ったから」

「そうなんだー。まぁ、それなら許してあげようかな。・・・じゃぁ、行こっか新一」

俺の手を取って歩き出す快斗。俺もそのスピードに合わせて、快斗と肩を並べて歩く。

「何乗ろっか?新一って絶叫系大丈夫だっけ?」

「うん。ジェットコースターも大丈夫。
あっ、でも、コーヒーカップは嫌いかな。目も回るし吐き気がするし」

「へぇー、新一もなんだ!俺も一緒だよ。あーいうのは嫌い。
じゃぁ、ジェットコースター乗る?」

「うん」

快斗と共に、ジェットコースターの列に並ぶ。流石に繋いだ手は離して。

「なぁ、快斗。そ言えば聞いたことなかったけど、快斗はどうしてマジックが覚えたんだ?」

「あぁ、それね。
それは、新一も知っていると思うけど、俺の親父がマジシャンでよ。東洋の魔術師て呼ばれるほどのマジシャンだったからその影響で。
マジックを覚える前に、親父に言われたのが・・・」

「ポーカーフェイスを忘れるな、だろ?」

「うん、そう。何時なんどきたりとも、ポーカーフェイスを忘れるなって言う親父の言葉、これだけは絶対に忘れない、かな」

遠い目をしながら、優しく言う快斗の言葉に俺は微笑んだ。
ふと快斗が思い出したかのように聞いてくる。

「新一はなんで探偵になろうと思ったの?」

「俺はさ、シャーロックホームズに憧れて。いつかシャーロックホームズみたいな名探偵になってやるって思って」

「そっか。・・・でも、だったらもうなってるね。新一はあの怪盗キッドも認めてる名探偵なんだから」

少しだけ、怪盗の気配を纏った快斗が笑いながら言ってくる。俺は快斗が言ってくれた一言に少し、・・・いや滅茶苦茶感動したし、それ以上に嬉しかった。
素直に、それを口に出すと快斗が俺の頭を撫でてくれる。その感触に目を細めて笑うと、快斗も目を細めて笑ってくれた。

「お客様、順番が来ましたので先頭の方から順番に2人ずつどうぞ」

いつの間にか順番になっていて、俺達は一番前に乗り込む。

「快斗、いよいよだな?」

「うん。新一怖くない?一番前で」

「あぁ、うん。大丈夫だよ。前に蘭と来た時も一番前だったから」

「そうなんだ。もう動くよ!」

快斗が俺の手を握って、笑いかけてくれるから、俺も頷きながら笑いかけ繋いだ手に力を込めた。


そうして無事に、ジェットコースターから降りて、次に向かう。

「ねぇ、新一〜?今度はどうする?
ちょうど昼だし、腹拵えでもしよっか?」

「うん。快斗って本当気が利くよなぁ」

「そう?好きな人だから尽くしたいって思うのは当然だよ」

自然に好きって言う言葉が快斗の口から出てきて、俺は頬を染める。
好きな人だから尽くしたい、っていうのは俺も一緒だから。
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