マイフレンド A

□腕の中
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好きな人の隣にいて、ずっと添い遂げるって言うのは夢のまた夢の話。

俺、工藤新一は今すっごく悩んでいる。
どこかで聞いたことのある話を思い出しながら、ため息をついてるんだ。思いに耽っているに決まってる。
それはいいのだが、もう最近自分が嫌になって来た。何でかと言うと、もう説明するのも馬鹿馬鹿しい。

それは1週間も前の事。

「新一〜、俺さ今日もラブレターもらっちゃった。しかも20通も」

「・・・」

「それでさぁ、告ってくる子も居たし。もう、男としては最高ってなわけよ」

「・・・」

何で俺が無言なのかって?
そりゃぁ、喋る気も無くなるだろ。自分の付き合ってる男が他の女の話してるんだぜ。
俺も男だからその気持ちはわからなくも無いけど、付き合ってる奴に他の女から告られたって喜んで話されて、嬉しいわけが無い。

「新一〜、俺どうしたらいいと思う?」

「知るかよっ。俺に聞くんじゃねぇ。
好きな奴が鼻の下伸ばして、他の女からラブレターもらったって喜んで話し聞かされてるこっちの身にもなれよ。
もう良い、帰れっ。二度と来んな!」

快斗に言い切り家から追い出したのだ。


今になって思えば、嫉妬したんだと思う。快斗が好き過ぎるからこそ、あんな気持ちになったんだ。
今思っても遅いのは分かってる。でも、快斗が好きな気持ちは変わらない。
そう思いながら家に帰ると、玄関前に佇む愛しい人が・・・。

「快斗・・・」
自然につぶやいていた。

「新一・・・。ごめん、新一。俺が悪かった。鈍いにも程があったよな、俺。
新一、本当ごめんな」

「快斗」

うん、やっぱり快斗が好き。快斗の腕の中に収まってホッとしたから余計そう思う。
快斗の腕の中が一番好き。

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