マイフレンド@
□愛される花道A
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愛される花道A
人は2番目に好きな人と結婚すると上手くいくらしい
いつかのドラマで聞いたことのある話を思い出し項垂れる花道。その通り過ぎて、二の句が出ないらしい。
花道は今、1番好きな人と付き合っている訳では無い。自分と同じように、片想いをしていた流川と付き合っているのだ。断じて流川告白されて仕方なく、ではない。
確かに流川に告られたのだが、自分も流川と同じ様に赤木のことが好きだったから、それを忘れるために自分の事を好きになってくれた流川と付き合うことにしたのだ。
今まで、流川の事を好きになれば赤木のことを忘れられると思っていた桜木は、流川の事を好きになろうと努力した。
キスだって試してみた。
けれど、流川の事は好きになれたけど赤木を忘れられるぐらい、流川を愛する事はできなかったのだ。
このまま流川と付き合っていれば、確かに良いのかも知れない。
けれど、流川は全身全霊を掛けて桜木を好きでいてくれるのに、このままの赤木を好きな気持ちのまま流川と付き合っているのは、流川が可愛そうじゃないのか。
桜木は項垂れながらも考える。
流川と付き合って、良いことも沢山あったのだ。流川を初めて可愛いと思った。
頬に冷たい物が当たり、顔を上げる。
ここは学校だったのだと思い出しながら。
そこには、ジュース缶を両手に持った洋平が居た。
「どうした花道」
洋平がジュース缶を差し出しながら聞いてくる。
「いや、別に・・・」
差し出されたジュース缶を受取りながら、曖昧な返事を返す桜木。
洋平は、桜木が座っている隣に座り、話しかける。
「そっか。俺でよければ話聞いてやろうと思ったんだけどな。お前の事情全部知ってるし」
桜木は、幼馴染の洋平だけには相談していた。実はこの洋平、リョーちんと付き合っているのだ。
洋平は自分の事情を知ってくれていたんだった、と思い出した花道は、詰まりながらも話し出す。
「俺・・・、どうしたらいいと思う?
このまま、このまま流川と付き合ったままでいるか。それとも・・・」
「俺的には、それとも・・・の方がいいと思うよ。それが花道にとっていいと思う。
けどそれは、俺が思ったことだ。それともで、ゴリに振られたら花道が辛いと思うから俺はオススメしない。
だからって、流川とこのまま付き合って花道が幸せになれるかって言ったら、そうじゃねぇって俺は思ってる。
どっちにしたって、花道が決めることだろ?
俺は花道の味方だよ。どっちを選んだってそれが花道の本心なら、俺はなにもいわねぇ」
ジュースを飲み干した洋平が、左手でジュース缶を握りつぶして笑いながら言ってくれた。