マイフレンド@

□流川の誕生日
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一月一日。今日は流川の誕生日だ。
流川は自分の誕生日を覚えてるのかあやふやだが、俺はちゃんと覚えている。
心底惚れた相手の誕生日くらい覚えていて当然だ。
それは置いて置いても、どうしようか。
流川の誕生日プレゼント。
自分にリボンつけて「プレゼントは・お・れ」何つーのは死んでもやれそうにねぇから、それだけはパス。
なら、流川が好きなもの。・・・好きなもの、か。
やべぇ、俺しか出てこねぇ。
どうせなら服でもプレゼントしてやるか。
ウィンドウ越しに見える、ダウンジャケットが目に入り、俺は流川に似合うだろうなぁと思いながら店に入る。
「いらっしゃいませ」
「おう、そのダウン、いくらだ?」
マネキンに着せてある黒のダウンジャケットを指差す。
「4500円です。ご自分用ですか?」
「いやプレゼントだ。これ買うよ」
「あっ、ありがとうございます」
店員が慌てながら、ダークブラウンのダウンジャケットを抱えてレジに走る。
新人か?と思える動きに苦笑しながら、俺も後を追ってレジに行く。
「何分で出来ます?」
「あっ、すぐ出来ますよ!プレゼント用なので包装しますから、3分ぐらいで出来ます。
先にお会計致しますか?」
「あぁ、頼む」
「4500円でございます」
俺は、腰ポケットに入れてある財布を取り出し、四千五百円を払う。
「レシートはいらねぇよ」
「はいっ。出来ましたら、お呼び致しますね」

俺は近くのソファーに腰をかけ、スマホを取り出す。
流川にLINEをする為だ。
名前の欄から、お気に入りに入っている流川のアイコンを押してコメントマークを押す。
流川、二時ごろにそっち行く
短いメッセージを送ると数秒で流川から電話が掛かってきた。慌てて電話に出る。
「あぁ、流川?メールしたんだからメールで返してくれりゃー良いのに」
『めんどくせぇー。それに、三井さんの声が聞きたかったから』
流川の言葉に赤面する俺。
毎日あってんのに、こうして流川が言ってくれる言葉に、愛されてんだなって感じる。
「俺も、流川の声聞きたかったからいいけどよ。・・・流川、誕生日オメデト」
『ありがとう、三井さん。・・・愛してる』
カァって音がするほど、顔が赤くなるのを感じる。
流川は口下手だから一言一言がさっきも言ったように優しくて愛されてんだなって感じんだよな。
態度で表すより、こうして言葉にしてくれることでより一層だ。
「俺も・・・。ケーキ買ってくから、2人でお祝いしよーぜ?」
『うス』
「じゃぁ、切るからな?」
耳からスマホを離し、通話終了ボタンを押す。
名残惜しいけど、もうすぐ流川に会えるから寂しさを感じない。
愛おしさが溢れすぎて、流川に早く会いたいっていう方が高まってる。
「お客様、包装出来ましたよ」
「あっ、サンキュー」
包装してもらった流川のプレゼントを受け取り、店を出て近くのケーキ屋でケーキを買う。
プレートに名前を書いてもらい、ケーキを受け取ると早まる心を抑えて流川の家に向かう。

合鍵をポケットから出し、流川の家の鍵を開ける。
流川の家に足を踏み入れる。
「三井さん、会いたかった」
突然抱きしめられ、ケーキとプレゼントを落としそうになった。が、寸前で踏み止まり、落とす事は無くなる。
「流川、取り敢えず、家に上がらせてくれるか?ケーキの形崩れちまうから」
流川に言うと、名残惜しそうに俺から離れてくれる。
俺は靴を脱ぎリビングに行きケーキを置く。
「これ、プレゼントな大したもんじゃねぇけどよ」
包装してあるダウンジャケットを渡す。
流川が気に入ってくれるかはわかんねぇけど、取り敢えず俺からのプレゼントって言うことで・・・。
「ありがとう、三井さん。まじで嬉しい。
愛してる」
プレゼントを机に置き、流川が俺を抱き締めて、耳元で愛してると言ってくれる。
「俺も。・・・愛してる」
ふたりして愛の言葉を交わした後、抱きしめ合いながら唇を近付けた。
唇同士が重なると、そのままキスをしてお互いの唇を離す。
「電話でしか言えなかったから、今言っとく。
流川、誕生日オメデト」

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