マイフレンドD

□〜君と僕が幸せになれる方法〜 第2章 これから
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スコッチが亡くなって一ヶ月が過ぎた。
あの日、ベルモットから死んだという話を聞いただけで、死体を見ていない零は、嘘だ、そんなのでたらめだと泣きながら否定した。それはそうだ、これで守れたんだと安心していた直後だったのだから。
それからの零の荒れようは、以前秀一が死にかけた時に見せた態度と同じくらいで、見ていられるようなものではなかった。
あの時は零の隣で慰めてやれる第3者が居たが、今は潜入捜査中で、秀一も任務があれば組織に従わなければならない。それは零も同じで・・・。

零は任務を完璧に遂行していた。でも、その心はもうズタズタで、斧で引き裂かれたかの様に、胸が傷んでいた。頼れる友人もいない、秀一には迷惑を掛けられないと気を張っていた為か二日前から熱を出して寝込んでいた。
「零、お粥を持ってきた。・・・食べれるか?」
組織に休みをもらった秀一は零と共に組織で買った家ではなく、自分たちの家に帰ってきていた。こうして毎日熱の下がらない零を秀一は寝ずの看病をしている。
「ごめんなさい、・・秀一さん。私のせいで秀一さん寝れてない・・・」
零は前より濃くなった秀一の隈に触れ、深刻な顔をしてこちらを見て言う。
「零の看病くらい、させてくれ。俺が出来るのはこのくらいしかない。・・・スコッチが死んで、零が落ち込んでいても、俺には慰めることも出来ないんだ。言葉が足りない上に、慰める言葉を言ったら零を傷つけてしまうんじゃないかって、毎日考えてた。今以上に、零が崩れて行くんじゃないかって・・・。
俺がスコッチを送って行っていれば助けられたかもしれない。スコッチじゃなく俺が死んだら・・・」
秀一が俺が死んだら・・・と言いかけたところで零が怒ったような顔をして秀一の頬を殴った。
「ふざけるな!俺が死んだら・・なんて考えるな。もし本当に秀一さんが死んでたら、俺がこうして生きているのでさえ、憎くなるだろ」
そこまで言い終えると、零は息を吐いた。
「ごめんなさい、怒鳴ってしまって・・・。でも許せなかったんです。秀一さんが自分が死ねばなんて考えさせてしまった自分に対して・・・。私は、今までたくさんのもの、失いました。両親も、友人も・・・。
貴方まで失ったら、わたし・・・」
零は、自分が怒鳴ってしまったことを謝り、秀一まで失ってしまったら、と言うもしもの話をしながら泣いた。そこまで体調も良くないのに、零を怒らせた自分に1発蹴りを入れたかったが、秀一は先に泣いている零を抱きしめて謝る。
「すまなかった、零。零の気持ちも考えずに・・・。
もう二度と軽々しく、死ぬって言葉口にしない」
「絶対に・・・‍?」
「あぁ、絶対だ。約束する。
だから、無理にとは言わない。でもできるだけ早く、元の零に戻ってほしい。俺のために」
零の顔を見て、秀一が己の気持ちを吐くと、零は微笑んで頷いた。
「秀一さんが望むのなら・・・。できるだけ早く、元の私に戻れるように、頑張ります」

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