マイフレンドD

□〜君と僕が幸せになれる方法〜 第2章
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翌日、零は組織の研究室に来ていた。APTX4869の研究をしているとベルモットから聞き、その成分を変えてしまおうと思ったからだ。
以前、APTX4869で小さくなってしまった秀一の母親のメアリー、工藤新一、シェリーを助ける為だ。
以前のような事にみんなを巻き込みたくない。シェリーこと志保にはもう組織の事で不安にさせたくなかった。
「初めまして、諸星澪南です。未だコードネームも持っていない若輩者ですが、よろしくお願いします」
白衣を着こなす研究員達に挨拶をして、中に通してもらい、ある小さな女の子に逢った。まだ五歳くらいで、髪が赤みがかった茶色の、いずれシェリーというコードネームを貰えるであろう宮野志保に。
「志保ちゃん、お久しぶりです」
「久しぶりです、澪南さん」
実は、以前有希子達と子供達を連れて遊びに行った際、何度か志保には逢っていた。その際、四歳の新一が志保に送っていたヘアピンを大事そうに髪につけていた。
「元気‍?」
「えぇ、とても。彼に会えるのをずっと待っているせいか、ここの所ちょっとしか眠れていないけれど」
「そっか。今度合わせるわね」
そうイタズラ口調で笑うと、珍しく頬を赤く染める哀の頭を撫で、研究の手伝いを始めた。

半年時が立ちボスからの指令があり、零にコードネームが与えられた。名はバーボン。
以前と同じコードネームだ。


コードネームが与えられて半月がすぎた後、諸星大の名を名乗った秀一が、澪南の双子の兄として、組織に潜入することになった。
ジンから、双子なら新人の秀一の監視をしろと命じられ、組織から与えられたマンションに住むこととなった。
「澪南、体調は大丈夫か‍?」
秀一が零の黒い髪を撫でて、聞いてくる。
「うん、大丈夫。お兄ちゃんは‍?暫くあっていなかったけど、元気だった?」
・・・設定上、澪南と秀一は双子だ。いつものように敬語を使うのは、場違いだろうと言うベルモットの提案で澪南である時は、兄である大(秀一)に、敬語は辞めた。
マンションに着き、2人で荷物の整理を始める。
「懐かしいな、小さな頃を思い出す」
「そうね、こっちに引っ越してきたばかりの頃、思い出すなー」
その時の事を思い出していた。

〈出会った頃のふたりに もう1度戻って見よう そして2人で手を繋ぎ 幸せになろうよ〉

思い出に浸る中、二人の耳に流れたのは、長渕剛の幸せになろうよだった。
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