マイフレンドD

□mother 〜暖かい愛の作り方〜 肆
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風見に1発殴られた赤井は、その後衝撃の言葉を風見から聞くことになった。
「もうお前には関係の無いことかも知れないが、俺は今度降谷さんに告白しようと思っている。嫌なのであれば、明日の正午そこに書いてある店に行って土下座でもして降谷さんに謝ることだ。それが出来ないのであれば降谷さんは俺が貰う。いいな!FBI!」
風見に脅されるように言われたあと、投げつけられた紙切れをみた。

明日の正午、俺と約束をしている降谷さんがこの公園に来る。
仲直り出来ないのであれば、俺が降谷さんを貰うからなFBI、赤井秀一!

そう書かれた紙切れをポケットに突っ込み、目の前にある公園を見つめた。


赤井と別れた風見はある所へ電話を掛けていた。
「任務完了だよ、工藤くん」
『ありがとうございます、風見さん。仕事の方では優秀なのに何で二人とも恋愛に関してこうも疎いんでしょうか・・・はぁ』
「本当だよ」
電話の相手はかの有名な高校生探偵だ。赤井達のためにいつも以上に知恵を働かせ、零のために動いてくれそうな風見に頼み、零がちゃんと赤井の話を聴けるように場所をとってもらい、赤井と零が幸せになれる様にと頼み込んだのが、だれでもない、この工藤新一だ。
自己評価が低いふたりをどう動かすか、新一と風見、そして今日的である志保にまで手伝って貰って決めたのがこの作戦だった。もう何ヶ月も前から考えていて、今度赤井が帰ってきたら実行しようと決めていて、それがこの日だった。
でもここまで、赤井が自分のことに疎かったというのは、本当に驚いた。面倒だから、シナリオにはなかった殴る蹴るの暴力を入れて、赤井秀一が零と幸せになれるように動くように脅すような言葉を言った。少し悪いとは思っているが、赤井にはこれくらいが丁度いいだろう。
『風見さん、明日の決行日には俺と志保も行きますよ。これだけ頑張ったのに上手くいかなかったら、赤井さんを1発殴りたいと志保も言ってますから』
「あぁ、了解だよ。じゃぁ明日」
風見は通話を終了すると、ポケットに携帯を入れた。

翌日の正午、秀一は少しふらふらする体を支えながら、昨日風見に言われた通り、公園に来ていた。そこには先に来ていた零がベンチに腰を掛けている。
秀一は零に声をかけた。
「話があるんだが、いいか‍?」
「・・・何であなたがここに‍?・・・私には貴方に話すことなどありません。それにここには元部下である風見に会いに来たんです。風見がここに来ないのであれば私は帰りま・・・って何やってるんですかあなた」
零の話を耳半分に、秀一は昨日風見に言われた通り土下座をした。
「すまない、零。俺が不甲斐ないせいで、零に負担を全部かけてしまってすまない。それもこれも、零に信用されていなかった自分が悪い。本当にすまない」
秀一は、ふらふらする中地面を見つめ何とか意識を保ちながら言葉を紡いた。零への謝罪の言葉と、自分の不甲斐の無さ、信用されてないということに自己嫌悪になりながらもそれを告げた。
零は愛している秀一がここまで自分のことを卑下して考えていたのかと考えて、とりあえず秀一の顔をみて話したいと思い肩に手を触れようとしたが、秀一の体が震えている事に気が付いた。零は慌てて土下座をしている赤井を起こして手を赤井の額に触れさせる。
「すごい熱じゃないですか。風邪ひいているのに土下座するなんて何考えてるんです‍?」
「風邪・・・‍?そういえばさっきから体がふらふらするような・・・」
秀一はそういった途端気を失って、零の胸に倒れこんだ。零は胸元に倒れ込んで来た赤い顔をしている赤井に、どうして最初に気づかなかったんだと自分を責め、どうやって家に連れて行こうかと考えていると木陰に隠れていた風見と、何故かここにいる新一と志保が草陰から出てきた。
「降谷さん」
「風見、それに新一くんと志保ちゃんも・・・。風見、どういうことかは後で説明を聞くから赤井を家に運ぶのを手伝ってくれ。志保ちゃんには赤井の目が覚めたら診察を頼みたい。新一くんにもちゃんと聞くから答えてくださいね?」
零は腕の中で荒い呼吸を続ける秀一の頭を撫でながら、3人ともに指示を出した。

「で、どうして新一くんと志保ちゃんまでこっちに‍?しかもどうして風見と約束していた場所に赤井が来たのか、それを聞きたいんですけど」
「すみません。降谷さん、全部降谷さんに幸せになってもらいたいがためだったんです。赤井さんが五年前降谷さんが消えた次の日から、降谷さんを毎日のように探してたんです。血眼になって。そんな赤井さんに嘘を突き通すのが嫌になって、風見さんに頼んで作戦を考えたんです。今の赤井さんなら降谷さんを幸せにできるかも知れないって・・・。でも、それは結局僕達の意見で、結局の所幸せになれるかどうかは赤井さんと降谷さん次第なんです。だから、赤井さんを試すような真似も何回もしました。降谷さんがもう赤井さんと会いたくない、と言うのなら赤井さんには日本に来ることができないよう警察に頼んでアメリカに行かせます。でもそうじゃないなら、赤井さんと一から初めて見たらいいんじゃないですか?子供の父親でも、貴方の恋人でもない赤井さんと過ごしてみたらいいんじゃないんですか?」
謝るつもりが、最後の方は零を脅す様になってしまった。
零は新一の話を聞いて涙を流した。涙を流しながらも、言葉を紡いだ。
「私は、透香を身篭った時、本当は赤井に相談しようって思ってました。公安を辞職して、ポアロのバイトを辞めて、赤井のマンションに向かった。だけど、扉の前に着いた瞬間怖くなって・・・。赤ちゃんを拒絶されたらどうしようって、本当に怖かったんです。だから、1人で産むって決めて、ここに引っ越した。赤井から何度も連絡が来たけど、こっちに引っ越して一年・・・ううん、透香が生まれてすぐ携帯を変えたから、それ以来赤井との縁は断ち切ったつもりだった。・・・つもりだったのに、いざ赤井に会った時、まだ赤井に愛されてるんだってわかった時すごく嬉しかった。本当は昨日会ったときに一緒に暮らしたいって言いたかった。でも私には透香が居る。透香を守らないといけないっていう気持ちの方が勝って、赤井のことは忘れなきゃ行けないんだって勝手に思ってた・・・けど、やっぱり駄目だよ。赤井の事が好きなんだもん。あんなに自分の事を卑下して何度も謝る赤井を見てたら、胸がギュって苦しんだ。めったに風邪なんて引かない赤井が目の前で苦しんで居るから、どうしたらいいのかわかんなくなった。私にとって赤井がどれだけ大切な人なのか、凄く思い知らされた」
段々感情が高ぶって、涙も止まらなくなってきた。自分がこんなにも、赤井を愛していたんだと凄く思った。どれほど大切なのかも・・・。
零が泣いているのを見た新一たちは、何も言えなかった。けどたった1人、風邪で意識を失っていたはずの赤井が泣いている零を抱きしめた。
「零」
抱きしめられ、赤井の声が聞こえて零は赤井に抱きついて声をあげて泣いた。
大好きな赤井に抱き締められたことで凄く安心した。

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